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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻13号

2000年12月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

遺伝子の判明していない遺伝子疾患の遺伝子診断

著者: 清水淑子1

所属機関: 1杏林大学保健学部臨床遺伝学教室

ページ範囲:P.1658 - P.1667

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はじめに
 ヒトの遺伝病のカタログのオンライン版OnlineMendelian lnheritance in Man (OMIM,http://www.ncbi.nih.Gov/omim)には約12,000の記載があるが,遺伝の関与が確立されているものは約8,600である1).疾患遺伝子を有する家系を用いた連鎖解析により,原因遺伝子のマッピングがなされた遺伝子疾患は約6,400で,それらはポジショナルクローニングなどの方法によってヒトゲノム解析の進展に伴っていずれは単離されるであろう.現段階では原因遺伝子の判明している遺伝子疾患は1,000余に上り,それらのほとんどは単一遺伝子疾患である.これらの疾患の遺伝子診断は原因遺伝子における変異を直接検出する直接診断法を用いることができる.遺伝性疾患は単一遺伝子疾患,染色体異常症,ミトコンドリア病,多因子疾患,体細胞遺伝病に分類されるが,そのうち7,000以上も存在する遺伝子の判明していない遺伝子疾患は単一遺伝子疾患の多く,ほとんどすべての染色体異常症,多因子遺伝病である.染色体異常症は細胞遺伝学的に分裂中期の染色体や間期の細胞などをFISH法を用いて解析する.多因子遺伝病に高血圧,糖尿病などが含まれ生活習慣病とも呼ばれる.多くの患者DNAを用いた罹患同胞対法により感受性遺伝子候補が見いだされていて,それらの遺伝子を解析することによって確定的ではないが,予測診断できる.また原因遺伝子が判明していても,いろいろな理由で直接診断が困難な場合,遺伝子近傍に座位する多型を用いて家系内で連鎖解析する間接診断を用いて診断できる.実際に患者の症状や家族の情報から病名を決定できれば前述のOMIMから遺伝形式,責任遺伝子が判明しているかどうか,遺伝子の染色体上での座位,などの情報を得ることができる.
 本稿では遺伝子が判明していない遺伝子疾患の遺伝子診断について最近の知見を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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