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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻4号

2000年04月発行

文献概要

今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・4

横川吸虫・肺吸虫

著者: 藤田紘一郎1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部医動物学

ページ範囲:P.350 - P.351

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 東京都内病院でのドック健診時の糞便検査の結果,寄生虫感染率は1991年の0.95%から年々増加を続け,1992年1.61%,1994年3.30%,1996年6.01%そして1997年には7.95%を示し,1999年にはついに10%を超えた.検出された寄生虫の種類では横川吸虫Metagonimus yokogawaiが全体の56%と最も高率であった.現在,日本で最も寄生率の高い寄生虫である.横川吸虫は第1中間宿主はカワニナ,第2中間宿主はアユ,シラウオ,ウグイなどの淡水魚で,これらの刺身やあらい,あるいはシラウオのおどり食いなどによって感染する.横川吸虫症は,近年のグルメブーム,輸送手段の発達によって全国的に感染が拡大している.成虫は1mmくらいのゴマ粒大(図1)で,虫卵も30μm (図2)と非常に小さい吸虫である.ヒトは,メタセルカリアが寄生しているアユなどを食べて感染し(図3),約1週間で成虫になる.少数寄生ではほとんど無症状である.多数寄生で,下痢,腹痛などカタル症状を起こす.
 人体寄生の肺吸虫は世界で7種類が知られている.このうち日本でみられるのはウエステルマン肺吸虫Paragonimus westermaniiと宮崎肺吸虫P.miyazakiiである(図4,5).ウエステルマン肺吸虫は,主にサワガニが第2中間宿主で両性生殖を行う2倍体型(2n=22)と,単為生殖を行い,モクズガニにより感染する3倍体型(3n=33)とに分けられるが,ヒトに寄生するのはほとんど3倍体型ウエステルマン肺吸虫である.ヒトはモクズガニやサワガニ中のメタセルカリアまたは,イノシシ肉中の幼虫を経口摂取して感染する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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