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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻4号

2000年04月発行

文献概要

トピックス

寄生虫アニサキスとアレルギー

著者: 木村聡1

所属機関: 1昭和大学医学部臨床病学教室

ページ範囲:P.443 - P.445

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1.魚介類アレルギーの意外な黒幕
 サバ,イカ,マグロなど,海産物は日本人に欠かせない食材です.しかし,不幸にしてこれらにアレルギーを持ち,せっかくの海の幸を楽しめない人も少なくありません.蕁麻疹,気管支喘息など,海産物によるI型アレルギーへの関与は広く知られており,その診断には血中の特異的IgE抗体測定が広く行われています.なかでもサバアレルギーは注目度が高く,検査部へ測定依頼もたくさん来ますが,以外と陽性率が低いことにお気づきの方も多いのではないでしょうか.
 私たちは,海産物に高率に寄生しているアニサキスに注目しました1).一般にアニサキス亜科の線虫は,イルカなど海産哺乳動物を終宿主とし,ヒトへの感染は中間宿主である魚介類(つまりサバ,イカなど)の生食により成立します.刺し身を食べた後激烈な腹痛をきたす"急性胃アニサキス症"は有名ですが,アニサキス幼虫が胃粘膜に迷入することで起こります.ところがこれとは別に,アニサキス虫体によるI型アレルギー反応が知られており,命にかかわる重症例も報告されています2).アニサキスと魚介類,ほんとうはどちらに感作された症例が多いのでしょうか? そこで私たちは,全国より集めたのべ3万余の検体を用いて,特異的IgE抗体の観点から,アニサキスと魚介類の陽性率を比較してみました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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