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筋ジストロフィー症は筋成長障害(逆説)成長指向性の善玉病変
著者: 戸塚武1 渡辺貴美1 佐久間邦弘2 浦本勲1
所属機関: 1愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所筋生理学研究室 2中枢生理学研究室
ページ範囲:P.445 - P.449
文献購入ページに移動筋ジストロフィー症(MD)は,筋線維(筋細胞は多核の細胞体で糸のように細長いので線維と呼ばれる)が変性・脱落するために筋が委縮する病気と考えられてきた(筋変性説).Duchenne型MD (DMD)の責任蛋白としてジストロフィンがHoffmanらによって予言され,今度こそは成因が解明され,治療法が開発されるだろうと,期待されて11年経った.しかし何も解泱されず,ジストロフィンが欠損しても必ずしも発症しないことなどもわかり,DMD遺伝子/ジストロフィンの検査結果を基に確定診断するのは危ないことが警告されている1).抗ジストロフィン抗体による組織検査について,Hoffmanを含む研究グループ2)も女性保因者で結果にばらつきがあり誤診の心配があると報告し,別の専門家は筋生検の解説で話題にしなくなった.
男子患者と女子保因者の変異DMD遺伝子は母親から受け継いだものとされてきたが,発症した女子の場合はほとんどが健康な父親から受け継いだものであることがわかり,遺伝様式がわからなくなってきた.
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