心臓の異常を大別すると,器質的異常と機能的異常とがある.器質的異常は先天的あるいは後天的ななんらかの病理解剖学的異常の存在を意味しており,機能的異常は器質的異常の有無にかかわらず存在すると考えられるが,機能的異常を示すものでも,細胞内微小構造の異常を示すものがあり,さらに最近の分子生物学の進歩により機能的異常のメカニズムが解明されたものもある.心臓の臨床検査はこうした異常の有無と程度を判断するために行われる.
一般的に心臓の検査のアプローチとしては,問診や診察の後に胸部X線写真と12誘導心電図がとられ,血液と尿の検査が行われる.最近では,心臓超音波検査がルチーンの検査に含まれるようになった.第二段階の検査として,さらに負荷心電図・Holter心電図・負荷心エコー図・経食道心エコー図・RI検査・CTやMRなどの非観血的検査がなされる.そして,第三段階として心臓カテーテル検査・心血管造影法・心筋生検あるいは電気生理学的検査などの観血的検査が行われる.