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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻10号

2001年10月発行

文献概要

今月の主題 ビタミン 話題

レチノイドによる分化誘導と癌治療

著者: 舛重正一1

所属機関: 1東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科

ページ範囲:P.1113 - P.1116

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1.はじめに
 ビタミンA (以下A)は1913年,米国のT.B.Osborne,L.B.Mendelならびに,M.DavisとEV.McCollumらにより,バター脂,卵黄脂,肝油中のネズミの成長に必須な栄養因子として発見された.以来,Aの化学と代謝,生理作用に関する膨大な研究成果が集積されている.主として,A欠乏動物によりAの生理作用は成長,視覚,生殖,皮膚・粘膜上皮の正常維持,糖蛋白質・糖脂質生合成など多彩なことが示された.その後,細胞分化,発生,形態形成,抗癌作用が加えられた.しかし,作用の分子メカニズムは視覚に関するものを除き長く不明であった.ところが,分子生物学の勃興と遺伝子工学技術の進歩は,Aの機能解明でも新局面を開いた.なかでも燦然と輝く秀峰は,1987年フランスのP.Chambonと米国R.Evansによる全―トランス―レチノイン酸(ATRA)をリガンドとする核内受容体(RAR)の発見である.彼らは同時独立にクローニングに成功し「Nature」の同じ号に発表した.これによりAはホルモンの範疇に入れられ,情報伝達分子としての属性が付与された.以来,核内受容体を中心にAの生理作用の分子機構研究が進められるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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