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骨髄間葉系幹細胞―生物学的役割からの新たな治療戦略
著者: 五條理志1 梅澤明弘2
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター心臓外科 2慶應養塾大学医学部病理学
ページ範囲:P.1135 - P.1138
文献購入ページに移動骨髄間質(ストローマ)細胞は造血支持細胞として研究の対象となってきた.近年,このストローマが自己複製能と多種類の間葉系の機能細胞に分化する能力を有する幹細胞を有していることが示された1).さらには,中胚葉由来ではあるが間葉系からはかけ離れていると考えられていた心筋細胞2)や骨格筋細胞3)が,この間葉系幹細胞から分化しうることが報告された.この間葉系幹細胞は,神経幹細胞,造血幹細胞とともに再生医療という治療戦略の重要な一翼を担うと考えられている.一方,すでに臨床においては骨髄移植において生着不全を防ぐことを目的に,ストローマ細胞移植が始められている4,5).これらの臨床試験は,移植細胞の生着促進のみならず,移植片対宿主反応を抑制する可能性を示した.また,間葉系幹細胞は,増殖能が極めて高いことが特徴である.一方,造血幹細胞の維持は困難で,多くの遺伝子治療プロトコールが当初予想されていたほどの効果をもたらしていない.このような現状から,間葉系幹細胞が遺伝子治療の有望なターゲットとなり始めている.
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