臨床検査45巻10号

2001年10月発行

研究

抗B抗体欠損O型症例のABO血液型遺伝子解析

著者： 舞木弘幸¹ 丸山芳一¹ 大西浩史² 中川智美² 中野稔³ 橋口聖一³ 市之瀬守³ 山下巧⁴ 肥後恵子¹ 丸山征郎¹

所属機関： ¹鹿児島大学医学部附属病院輸血部 ²住友金属株式会社 ³鹿児島県赤十字血液センター ⁴済生会川内病院中央検査部

ページ範囲：P.1145 - P.1149

　ABO血液型検査にて表試験，裏試験の成績に不一致を認めた患者と家族のABO血液型の遺伝子解析を行った．患者の血液型は，表試験O型，裏試験B型で吸着解離試験にてB抗原が検出されなかったことから，抗B抗体のみを特異的に欠損したO型と考えられた．家系調査では長男O型，長女B型で特に異常を認めなかった．しかし，PCR-RFLP,PCR-SSCPを用いてABO血液型の遺伝子型を解析したところ患者O^GO^G型，長男O^AO^G型，長女BO^A型となり，親子関係に矛盾を生じる結果となった．