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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻13号

2001年12月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・12

運動が免疫機能に及ぼす影響

著者: 赤間高雄1

所属機関: 1日本女子体育大学

ページ範囲:P.1705 - P.1710

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体力としての免疫機能
 運動する目的として体力の向上を考える人は多い.体力は行動体力と防衛体力に大別される.行動体力は,走る,跳ぶ,投げる,などの運動する能力のことで,体力テストで測定できる体力である.これに対して,防衛体力は「体力が落ちて病気になってしまった」などと言うときの体力のことであり,体の恒常性を乱す様々な要因(ストレッサー)から体の健康を守る能力のことである.ストレッサーには,物理化学的,生物的,生理的,および精神的なものがある(図1).このうち生物的ストレッサーは,細菌やウイルスなどの病原性微生物のことで,生物的ストレッサーによる疾患は感染症である.感染症に対する生体防御機構は免疫系が担っている.すなわち,生物的ストレッサーに対する防衛体力とは免疫機能のことである.
 感染症は,現在においても人類の健康にとって大きな脅威であり,最近話題になった感染症としては,インフルエンザ,病原性大腸菌,AIDS,多剤耐性菌などがある.高齢者では加齢による免疫機能の低下に伴って,インフルエンザによる死亡が増加することが知られており,高齢化社会においては加齢による免疫機能の低下を防ぐ方策が必要である(図2).また,一般人よりは行動体力レベルが高い一流スポーツ選手においても上気道感染症や消化器感染症は数多く発生するため,選手のコンディションを維持するには選手の免疫機能を保持しながらトレーニングすることが必要である(図3).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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