文献詳細
文献概要
シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・2
ストレスと免疫応答
著者: 片渕俊彦1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院統合生理
ページ範囲:P.207 - P.212
文献購入ページに移動はじめに
従来より,免疫系は,それ自体が自己制御能を有する閉じられた系と考えられていたが,近年,神経・内分泌系との問で相互に情報交換を行っていることが明らかになってきた.すなわち,リンパ球などの免疫系細胞には,免疫臓器を支配する自律神経系の伝達物質や,内分泌系から放出されるホルモンに対する受容体が存在し,一方,ニューロンやグリア細胞などの神経系細胞は,免疫系情報伝達物質の1つであるサイトカインの受容体を有している.さらに,リンパ球によって神経ペプチドが産生され,神経系細胞によってサイトカインが産生される.
このような共通の情報伝達物質およびその受容体機構による相互対話は,"脳―免疫系連関"という概念で捉えられ,特に,神経系と免疫系とをつなぐ情報伝達物質の代表と言えるサイトカインは,感染や腫瘍などの炎症以外に,拘束ストレスなどの非炎症性ストレスにおいても脳内で産生される可能性が示され,免疫応答をはじめ,種々のストレス応答において,脳―免疫系連関が重要な役割を果たしていることが示唆されている.
従来より,免疫系は,それ自体が自己制御能を有する閉じられた系と考えられていたが,近年,神経・内分泌系との問で相互に情報交換を行っていることが明らかになってきた.すなわち,リンパ球などの免疫系細胞には,免疫臓器を支配する自律神経系の伝達物質や,内分泌系から放出されるホルモンに対する受容体が存在し,一方,ニューロンやグリア細胞などの神経系細胞は,免疫系情報伝達物質の1つであるサイトカインの受容体を有している.さらに,リンパ球によって神経ペプチドが産生され,神経系細胞によってサイトカインが産生される.
このような共通の情報伝達物質およびその受容体機構による相互対話は,"脳―免疫系連関"という概念で捉えられ,特に,神経系と免疫系とをつなぐ情報伝達物質の代表と言えるサイトカインは,感染や腫瘍などの炎症以外に,拘束ストレスなどの非炎症性ストレスにおいても脳内で産生される可能性が示され,免疫応答をはじめ,種々のストレス応答において,脳―免疫系連関が重要な役割を果たしていることが示唆されている.
掲載誌情報