臨床検査値を評価する際の基準として最近では正常値という言葉は使わずに基準値,あるいは基準範囲という言葉が使われている.従来は正常人の集団について得られた平均値±2標準偏差,または95%の人が含まれる範囲を正常値としてきたが,高齢者の場合には正常者の定義が難しいので,より実用的な考え方として,健康生活者に最も多く認められる測定値が基準値として用いられている.
さらにまた血圧,血清脂質,血糖などの生命の予後に関係が深い検査値については,自立して長生きが可能な理想的な測定値を基準値とする考え方もある.