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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻5号

2001年05月発行

文献概要

今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・17

無鉤条虫・有鉤条虫

著者: 藤田紘一郎1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学

ページ範囲:P.460 - P.461

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 無鉤条虫Taeniarhynchus saginatus感染はアフリカ,南米,東欧などに多くみられる.終宿主はヒト.ヒトとウシとの間で感染が回っているサナダ虫である.成虫は3~7m,片節数約1,000,頭節には4個の吸盤を有している(図1).片節は後方に行くにしたがって縦長の長方形になり,生殖器が退化した受胎節へと続いている(図2).排出された受胎節の動きは活発で,片側20~30本の子宮側枝を形成している(図3).片節には子宮孔を欠くため,虫卵は産下されない.虫卵は子宮内では棘状の突起を持つうすい卵殻に包まれているが,外界では卵殻は破れて幼虫被殻が露出した状態で観察される(図4).ヒトから排出された片節中の虫卵を牧草などとともにウシが食べると,小腸で虫卵中の六鉤幼虫が孵化し,腸壁から血行性,リンパ行性に身体各所の筋肉内に移行して,無鉤嚢(尾)虫となる.ヒトは牛肉を生または半調理で食べ,筋肉中の嚢虫を摂取して感染する.無鉤条虫寄生による症状はほとんどない.近年,海外で感染して国内に持ち込むケースが増えており,輸入感染症として重要である.
 有鉤条虫Taenia soliumもヒトだけが終宿主の寄生虫である.ヒトとブタとの間で感染が回っている.中南米,アフリカ,インド,中国,韓国に多く分布している.成虫はヒトの小腸に寄生し,体長2~5mである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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