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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻5号

2001年05月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・5

老化と免疫機能

著者: 鈴木英年1 山下昭1

所属機関: 1浜松医科大学解剖学第2

ページ範囲:P.533 - P.540

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はじめに
 『年をとるそれはおのれの青春を歳月の中で組織することだ』という文章は,折々の歌1)の著者大岡信が,フランス詩人ポール・エリュアールの詩句を何とか日本語に移そうと試み,結局未完の訳に終わったものである.偶然にも,この詩人が逝った1952年に,ピーター・メダワーは老化という未解決の問題に言及している2).さらに翌1953年,"Phenomenon of Man"と呼ばれた彼とその仲間たちは,生後間もなくのマウスに同種抗原を持った成熟マウスの骨髄細胞を注射するという歴史的なプロトコールにおいて,ドナー抗原特異的免疫寛容が成立するという報告をして3),1960年ノーベル賞を受賞した.新生児期になぜ免疫寛容が誘導されやすいかという論点において,それが単なる免疫機能の未熟性のためではなく,新生児期の正常免疫系に対し質的にも量的にも過剰のアロ抗原に曝されるためという報告もある4).このことは新生児期が免疫学的に特別な時期ではないということを示唆している.では老年期には,一体どのような免疫機構が存在しているのであろうか.老年期免疫系が死の準備段階として消極的な意味で機能しているのか,あるいは積極的な意味で活き活きとした免疫系が躍動しているのか,いずれにせよ『新生』の対極にある『老年』期には多くの問題点が内包されている.
 すべての生物は生後平等に与えられる時間のなかで年を重ね年老いてそして死を迎える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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