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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻7号

2001年07月発行

文献概要

今月の主題 鉄銅代謝 話題

ヘム鉄再回収システムとしてのヘムオキシゲナーゼ反応

著者: 末松誠1 合田亘人1 加柴美里1 梶村真弓1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部医化学教室

ページ範囲:P.739 - P.743

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1.はじめに
 ヘム鉄はヘム蛋白の補欠分子族として用いられ生体における分子状酸素の運搬と利用に極めて重要な役割を果たしている.しかしながら遊離のヘム鉄は生体内のprooxidantとして細胞毒性を発揮するため,これを急速に分解解毒するシステムが必要である.ヘムの分解・解毒はヘムオキシゲナーゼ(heme oxygenase; HO)により行われる(図1).生体内に最も多く存在するヘム蛋白質であるヘモグロビンは赤血球内に存在し,そのヘム鉄は赤血球寿命に伴い主に網内系で代謝されると考えられてきた.本酵素反応ではヘムのポルフィリン環への酸素添加反応により同モルの一酸化炭素と鉄,ビリベルジンを生成する1).ビリベルジンはビリベルジンリダクターゼによりビリルビンとなり,抱合されて胆汁中に排泄される.したがってこの反応は,ヘム鉄を遊離の鉄として再回収する反応系でもあると考えられる.同時に鉄の再回収と併行して,HO反応の副生成物であるCOやビリルビンが生成されて,前者は細胞情報伝達物質として2,3),後者は活性酸素の消去物質として4)鉄回収のコンパートメント周辺の細胞の機能を制御するものと考えられる.最近になりHOの生体における臓器内分布が明らかにされ,その発現パターンが生体侵襲に応じて大きく変化することが明らかにされた.また本酵素の欠損症例が見いだされ鉄代謝パラメータに大きな変動が現れることも明らかになった5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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