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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻7号

2001年07月発行

文献概要

今月の主題 鉄銅代謝 話題

Non HFE-1鉄過剰症

著者: 新津洋司郎1 加藤淳二1 松永卓也1

所属機関: 1札幌医科大学医学部内科学第4講座

ページ範囲:P.744 - P.748

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1.はじめに
 肝炎や膵炎など広範な組織障害がある場合,頻回の輸血症例,悪性腫瘍や慢性炎症,再生不良性貧血や腎不全など造血能が低下している場合以外にも血中フェリチンが高値を示すことが稀にある.ことに血清鉄もある程度高く,組織(骨髄や肝)生検で鉄沈着がみられるときには,いわゆる鉄過剰症を疑う.一般に輸血や鉄剤の静注など非経口的に鉄分が体内に入ると,まずマクロファージやクッパー細胞などの網内系に蓄積する(ヘモシデローシス).同様の鉄負荷が続くと,次第に肝細胞,膵細胞,皮膚上皮,心筋など実質細胞にも鉄が沈着する.このような状態は二次性のヘモクロマトーシスと呼称されるが,他方,特別の誘因がなくてもこれらの実質細胞に鉄の沈着をみることがある.いわゆる原発性鉄過剰症(原発性ヘモクロマトーシス)である.この原発性ヘモクロマトーシスは欧米社会では最も頻度の高い遺伝性疾患である.その原因遺伝子として最近HFE-1が同定されたが,この異常をもたない鉄過剰症が欧米でも約10%あり,アジア,アフリカでは大部分がそうである1,2)
 HFE-1遺伝子異常については,本誌又木紀和・三浦総一郎氏のヘモクロマトーシスの遺伝子異常の稿で詳述されると思うので,本稿ではそれ以外の鉄過剰症遺伝子異常について最近われわれが見いだした3)H-フェリチンサブユニット遺伝子を中心に述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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