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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻7号

2001年07月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・7

内分泌攪乱化学物質と免疫機能検査

著者: 辻博1

所属機関: 1福岡大学医学部内科学第三教室

ページ範囲:P.761 - P.766

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はじめに
 ホルモンの合成,分泌,輸送,受容体との結合,作用あるいは不活化を阻害することにより生体の恒常性維持,生殖,発達,行動などに関与する正常なホルモン作用を障害する外因性の化学物質を内分泌攪乱化学物質と称している.最近,環境中に存在する化学物質が野生生物のホルモン作用を攪乱し,生殖機能の阻害,悪性腫瘍の発生,免疫能の低下などを引き起こす可能性が指摘されている.このような内分泌攪乱作用を有すると疑われている化学物質のなかで特に人体に影響を与えるものとしてポリ塩化ビフェニール(PCB),ダイオキシン類などが注目されている.PCBは化学的安定性,不燃性,電気絶縁性などの諸性質から,一時期大量に生産され使用されてきた.また,ダイオキシン類はベトナム戦争で使用された枯葉剤中の不純物として社会的に知られたが,廃棄物の熱処理過程や有機塩素化合物の生産過程などで非意図的に生成される.これらの物質は,環境中において極めて難分解性であり,生物やヒトに摂取されると排泄が極めて遅く,脂溶性のため脂肪組織に蓄積される.
 わが国ではPCB混入ライスオイル摂取による油症がPCB中毒事件として知られているが,発症後30年以上を経過した現在においても重症例では体内のPCB濃度がいまだに高値である.最近,乳児における母乳からのダイオキシン類摂取による影響が注目されているが,内分泌攪乱化学物質のヒトへの影響についての詳細はいまだ不明である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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