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サイクリン依存性キナーゼインヒビター(CDKI)と慢性関節リウマチの治療
著者: 長坂憲治1 上阪等1
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体応答調節学
ページ範囲:P.767 - P.770
文献購入ページに移動慢性関節リウマチ(RA)は,多関節炎,骨破壊,そして関節変形をきたす自己免疫疾患である.罹患関節では炎症細胞の浸潤と滑膜線維芽細胞の増殖により,著しい滑膜増生が認められる.病因として,未知の自己抗原に反応するT細胞により炎症が引き起こされると考えられているが,いったん炎症が起こると,活性化マクロファージが主役を担うようになり,腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor-α;TNF-α)に代表されるサイトカインを大量に産生する.これに刺激され増殖した滑膜線維芽細胞は,パンヌスと称される肉芽様組織を形成する.このような病的環境では,蛋白分解酵素や活性酸素の産生,破骨細胞の活性化が盛んになり,最終的に骨・軟骨を破壊して重大な機能障害を招く.以上のように,RAの病態は,炎症→滑膜増殖→関節破壊の3つのステージに分けることができる(図1).
RA治療の最終目的は,関節破壊の阻止である.従来の治療法は,ほとんどが炎症の抑制をターゲットにしたものであった.しかし,関節炎の形成・維持には様々な分子が関与しているため,1つの分子を抑制しても他の分子の活性に変化が見られるせいか,効果は長続きしないことがある.そのため,最終的に関節破壊に至ってしまう可能性があった.
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