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今月の主題 蛋白質の活性と蛋白量 技術解説・凝固線溶系測定
アンチトロンビン(Ⅲ)
著者: 新谷憲治1
所属機関: 1岡山大学大学院血液・腫瘍・呼吸器内科
ページ範囲:P.972 - P.976
文献購入ページに移動アンチトロンビンⅢ[AT(Ⅲ)]はセリンプロテアーゼ・インヒビター(serpin)ファミリーに属し,トロンビンをはじめ,活性化第X因子や第Ⅸ因子などを不活化して,凝固反応を制御する重要な凝固阻止因子で,本因子の欠損により深部静脈血栓症などの血栓症が発症する.AT(Ⅲ)欠乏症は,AT(Ⅲ)分子そのものが減少するタイプⅠとAT分子は存在するがその分子の構造異常により抗トロンビン活性が低下するタイプⅡに大別される.また,AT(Ⅲ)は肝障害やネフローゼ,DICで減少する.したがって,血栓症やDIC症例さらにヘパリンで抗凝固療法をするような場合には,血漿中のAT(Ⅲ)活性を測定する必要がある.本項では,AT(Ⅲ)の活性とその抗原量を測定する方法を解説した.
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