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文献概要
今月の主題 蛋白質の活性と蛋白量 話題
誘導型NO合成酵素
著者: 岡本真一郎1 赤池孝章1
所属機関: 1熊本大学医学部微生物学講座
ページ範囲:P.991 - P.995
文献購入ページに移動1.はじめに
1980年代後半,ガス状の非常に単純な無機ラジカル化合物である一酸化窒素(nitric oxide;NO)が,血管内皮細胞から産生される血管平滑筋弛緩因子の本態であることが明らかにされた1).以来,この新たな内因性ラジカル種に関する研究が急速に進展したことは周知のとおりである.現在ではNOは内因性血管弛緩因子としてだけでなく,神経情報伝達の調節や,炎症反応,感染防御,さらに細胞死の制御など様々な生理機能や病態生理活性の発現に関与していることが明らかにされつつある2).このようなNOの生物活性の多面性は,単純な無機ラジカルとしてのNOの多様な化学的反応性に基づいている.そこで本稿においては,NO合成系の発現誘導機構とNOの病態生理活性について,NO合成酵素のうち特に誘導型NO合成酵素(iNOS)に焦点を当て概説する.あわせて,NO由来の反応性窒素酸化物であるパーオキシナイトライトなどのバイオマーカーとして注目されているニトロチロシンの新しい測定法について紹介する.
1980年代後半,ガス状の非常に単純な無機ラジカル化合物である一酸化窒素(nitric oxide;NO)が,血管内皮細胞から産生される血管平滑筋弛緩因子の本態であることが明らかにされた1).以来,この新たな内因性ラジカル種に関する研究が急速に進展したことは周知のとおりである.現在ではNOは内因性血管弛緩因子としてだけでなく,神経情報伝達の調節や,炎症反応,感染防御,さらに細胞死の制御など様々な生理機能や病態生理活性の発現に関与していることが明らかにされつつある2).このようなNOの生物活性の多面性は,単純な無機ラジカルとしてのNOの多様な化学的反応性に基づいている.そこで本稿においては,NO合成系の発現誘導機構とNOの病態生理活性について,NO合成酵素のうち特に誘導型NO合成酵素(iNOS)に焦点を当て概説する.あわせて,NO由来の反応性窒素酸化物であるパーオキシナイトライトなどのバイオマーカーとして注目されているニトロチロシンの新しい測定法について紹介する.
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