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文献概要
今月の主題 診察前検査 話題
ESC/ACC心筋梗塞診断基準
著者: 説田浩一1 清野精彦2
所属機関: 1東京都立駒込病院循環器内科・臨床検査科 2日本医科大学第一内科
ページ範囲:P.1140 - P.1143
文献購入ページに移動急性心筋梗塞は,従来胸痛など典型的胸部症状,異常Q波など心筋梗塞に特有な心電図所見および血中心筋逸脱酵素値上昇により診断(WHOの基準1)では上記3つのうち2つが出現した場合)されていた.このうち胸部症状は必ずしも心筋梗塞に特有でなくまた出現しないこともあり,心電図も典型的な所見を呈しない場合がある.これに対して,心筋逸脱酵素は心筋の傷害が起これば必ず上昇がみられるため,心筋梗塞診断のために最も確実であると考えられた.しかし,古くから利用されてきたクレアチンキナーゼ(CK)など心筋マーカーは必ずしも心筋特異性は高くなく,偽陽性を呈することが多かった.ところが約10年ほど前より心筋特異性の極めて高いトロポニンT(TnT)およびI(TnI)が臨床応用されるようになり,心筋梗塞の生化学診断が大きく進歩すると同時に非ST上昇型急性冠症候群などの病態が注目されるようになった.このような背景をもとに,2000年9月欧州心臓学会(ESC)および米国心臓学会(ACC)合同委員会により心筋梗塞の診断基準の改定が行われた2).今回,新しい診断基準および血中マーカーによるリスク層別化の重要性を中心に概説する.
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