icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床検査46巻11号

2002年10月発行

雑誌目次

特集 造血器腫瘍

序文

血液学の潮流

池田 康夫

pp.1190-1191

 2001年2月ヒトゲノムブロジェクト国際コンソーシャムとセレラゲノミクス社は同時にヒトゲノムの全塩基配列を報告し,ヒトのもつ遺伝子が約4万種類前後であることを明らかにしたが,それを受けたポストゲノム時代にはこれらの膨大なゲノム情報をどう活かして行くかが問われており,ゲノム全体を網羅的に解析する手法としてのゲノミクス,蛋白質全体を解析する技術としてのプロテオミクスの新しい研究分野に力が注がれることになる.

 20世紀後半の分子生物学,細胞生物学の著しい進歩は,形態学を基礎として発展して来た血液学を大きく転換させたが,ポストゲノムの時代においても基礎研究,臨床の両面において,血液学はダイナミックな展開をみせており,他の医学領域の追従を許さない.塩基配列多型,変異の同定,網羅的遺伝子発現量の解析,さらにはそれらの遺伝子によりコードされる蛋白質の網羅的解析を通じて,造血器腫瘍の分子病態の解明,新しい疾患概念の提唱,新しい診断法の開発,治療効果に関与する因子の解析,疾患の予後予測法の開発,さらには新しい分子標的療法の開発など,臨床現場に直結し得る多くの研究成果が期待されている.

造血のしくみ

松村 到 , 金倉 譲

pp.1194-1202

はじめに

 ヒトの生体内に存在する血液細胞は大きく3系統に分類される.酸素運搬を行う赤血球系細胞,感染防御の担い手である白血球系細胞,血液凝固にかかわる血小板を産生する巨核球系細胞である.これら3系統の血液細胞は形態的にも機能的にも全く異なった特徴を有するが,すべて造血幹細胞から産生される.成熟した血液細胞は最終的に末梢血中に流入してくるがその寿命は短く,ヒトの生体内では日々老朽化した血液細胞の破壊が行われている.この消費を補うために健常成人では赤血球が約2×1011個,白血球が約1×1011個,血小板が約2×1011個と膨大な数の血液細胞が日々産生され,造血の恒常性が維持されている.本稿では造血システムを構成する血液細胞について解説するとともに造血制御機構についても概説したい.

Ⅱ 造血器腫瘍の病態と分類

1.急性白血病

栗山 一孝

pp.1204-1211

はじめに

 急性白血病のFrench American British (FAB)分類1~4)は,形態学を主体にし,しかも標準的化学療法の適応となり,かつ一定の頻度で認められる病型を対象とした臨床的で実用的な分類法といえる.近年染色体・遺伝子変異の臨床的重要性が明らかになってくるにつれ,これらも包括した分類法の必要性も高まってきた.世界保健機構(WHO)は,1999年急性白血病を含む造血器・リンパ組織悪性腫瘍の分類法を発表した5,6).この新WHO分類は,FAB分類に含まれない病型や特定の染色体・遺伝子変異を有する病型を取り上げ,より包括的分類法といえる.ここでは,まず簡単にWHO分類を紹介したうえで治療の現状について言及したい.

2.慢性骨髄性白血病

東條 有伸

pp.1212-1216

骨髄増殖症候群

 慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leuke-mia;CML)は,真性多血症(polycythemiavera;PV)・本態性血小板血症(essential throm-bocytosis;ET)・骨髄線維症(primarymyelofibrosis)とともに骨髄増殖症候群(myelo-proliferative disorder;MPD)の一病型として位置づけられる.MPDの発症は骨髄系造血幹細胞またはより未熟な幹細胞に生じた遺伝子異常に起因する.異常を生じた幹細胞は正常幹細胞より旺盛な血球産生能力を有するため,やがてリンパ系細胞を除くほとんどの成熟血球は異常幹細胞に由来するようになる.どの系列の血球増加が顕著になるかは原因遺伝子の種類によって決まると考えられるが,実際に原因遺伝子が同定されて病態解明が進んでいるのはMPDのうちCMLだけである.他の病型についてはCMLから類推される部分が多い.

3.骨髄異形成症候群

澤藤 かの子 , 木崎 昌弘

pp.1217-1221

はじめに

 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syn-dromes;MDS)は無効造血を特徴とし,骨髄幹細胞レベルでの異常に起因する造血障害であり,新WHO分類においては末梢血または骨髄中の芽球が20%未満と定義されている.MDSから急性白血病への移行が経過中しばしば認められるが,その頻度は病型により異なるものの予後を決定するうえで重要である.MDSの大部分は骨髄不全の進行により様々な症状を呈し高齢者に多く発症することもあり,重篤な感染症や出血症状をきたすことが多い.新WHO分類ではFAB分類におけるrefractory anemia (RA)が赤芽球系のみに異形成が認められるRAと2系統以上の細胞に10%以上の異形成を有するrefractorycytopenia with multilinage dysplasia (RCMD)に分類された.また,refractory anemia withringed sideroblast (RARS)の環状鉄芽球比率は骨髄有核細胞から骨髄赤芽球の15%以上と改められ,RA with excess of blast (RAEB)も芽球の比率でRAEB-1とRAEB-2に分類された.また,MDSにしばしばみられる5q―症候群を1つの疾患単位として独立させた.

4.骨髄増殖性疾患

後藤 明彦 , 大屋敷 一馬

pp.1222-1227

分類

 骨髄増殖性疾患(myeloproliferative dis-eases;MPDs)はクローナル性造血幹細胞疾患で,"有効造血"による末梢血の1つもしくはそれ以上の系統の増加と肝脾腫を特徴とする.骨髄所見は成熟を伴う過形成骨髄で異形成は認めない.WHO分類では6つの病型とそれらの分類に入らないunclassifiableがMPDの範疇に入れられている(表1)1)

5.骨髄異形成/骨髄増殖性疾患

後藤 明彦 , 大屋敷 一馬

pp.1228-1230

分類

 骨髄増殖性疾患(MPD)と骨髄異形成症候群(MDS)の両者の特徴を兼ね備えた疾患群である.WHO分類では骨髄異形成/骨髄増殖性疾患(myelodysplastic/myeloproliferative diseases)に分類される骨髄系腫瘍は表1の3疾患である1)

6.慢性リンパ性白血病と関連疾患

横瀬 紀夫 , 檀 和夫

pp.1231-1233

はじめに

 広義の慢性リンパ性白血病(chronic lymphoidleukemias;CLLs)は末梢血・骨髄中およびリンパ組織で成熟した形態のリンパ球が腫瘍性に増殖する疾患群を示す.その中にはB細胞性慢性リンパ性白血病(B-CLL)およびその亜型・類縁疾患として扱われてきたいくつかの疾患が含まれる.本稿では最近発表されたWHO分類1)に従い,B-CLLを中心として各疾患の病態・診断・治療について解説する.

7.悪性リンパ腫

押味 和夫

pp.1235-1239

概念と病態

1.概念

 リンパ球が増殖して腫瘤形成をきたす悪性腫瘍を悪性リンパ腫と総称している.

 悪性リンパ腫は,リンパ節,脾,胸腺,扁桃などのリンパ組織,腸管や気道などの粘膜に沿って分布する粘膜関連リンパ組織(mucosa-associat-ed lymphoid tissue;MALT),さらには他の組織に散在性に分布しているリンパ球からも発生する.リンパ節発症のリンパ腫が半数を超すが,リンパ節以外の臓器の皮膚や脳,鼻腔,胃,腸,乳腺,骨,子宮などあらゆる組織から発生する.

8.多発性骨髄腫と関連疾患

服部 豊

pp.1241-1245

疾患の分類

 多発性骨髄腫(以下骨髄腫)および類縁疾患の一覧をWHO分類に従って表1に示す.いずれも終末分化したB細胞の悪性腫瘍である.骨髄腫は,40歳以上の中高年者に多く,患者平均年齢は60代前半で男性にやや多く,造血器腫瘍の約15%を占める.わが国における人口10万人当たりの年間死亡率は約2人で,高齢化に伴い増加傾向にある.Osteosclerotic myelomaは,POEMS(polyneuropathy,organomegaly,endocrinopathy,M protein,and skin change)syndrome,Crow-Fukase syndrome,高月病ともいわれ,多発性神経炎・骨硬化・内分泌異常・剛毛症・皮膚色素沈着・浮腫を伴う.Plasma cellleukemia(形質細胞性白血病)は末梢血中の形質細胞絶対数が2,000/μl以上あるいは有核細胞の20%以上で定義され,初発時から形質細胞性白血病像を示すprimary plasma cell leukemiaと骨髄腫が進行した結果,形質細胞性白血病に至るsecondary plasma cell leukemiaに分類される.いずれも予後は極めて悪く前者では平均生存期間6か月程度である.これらに含まれないmonoclonal gammopathy of unknownsignificance(MGUS)という病態がある.

Ⅲ 検査法の基礎知識

1.骨髄・リンパ節生検検体の取り扱い

安達 章子 , 田丸 淳一

pp.1248-1252

はじめに

 悪性リンパ腫,白血病という造血器腫瘍の診断および病変の拡がりを把握するために骨髄・リンパ節を採取することが必須であり,その的確な判定,診断のためには検体の採取,処理を適切に行うことが最も重要である.造血器腫瘍は科学・医学の進歩に伴い,その検索方法も最も多様化している領域といっても過言ではない.したがって,その検体処理方法も複雑化してきている.本稿では骨髄・リンパ節検体の取り扱い方の実際について概説する.

2.細胞染色法

岡田 美樹

pp.1253-1259

普通染色

 血液細胞形態を観察するうえで,最も基本的な染色法である.普通染色にはRomanowsky染色と呼ばれるギムザ染色,ライト染色,メイ・グリュンワルド・ギムザ染色,ライト・ギムザ染色などがある.しかし単染色であるギムザ染色とライト染色は,血液細胞形態の観察においてはともに染色性に不十分な点が多くあまり奨励できない.今回,造血器腫瘍の細胞形態は血球の細部に至る入念な観察が必須となるため,ここでは単染色に比し染色性のより優れた二重染色であるメイ・グリュンワルド・ギムザ染色とライト・ギムザ染色について述べる.

 目的:末梢血液,骨髄液中に存在する血液細胞の観察を目的とする.造血器疾患の細胞鑑別には,今日多くの細胞化学的染色や免疫学的細胞マーカー解析が普及しているが,まず血液細胞の基本的な分類においての第一歩として,多くの情報を得ることができる.

3.組織染色法(一般・特殊染色)

山本 智理子

pp.1261-1264

はじめに

 REAL分類1)に続いて新WHO分類2)においても,形態学的所見(morphology)と細胞表面マーカー(immunophenotype)は,病型を規定する重要な所見となっている.造血器腫瘍の診断に用いられる検体には血液塗抹標本,骨髄生検標本やリンパ節生検標本などがあるが,以下では主として組織検体,すなわち骨髄,リンパ節および節外性諸組織の染色を中心に述べる.染色までの処理として,ホルマリン固定済みの検体は,脱水透徹処理を経てパラフィン包埋ブロックにして薄切される.未固定検体の場合は,OCT包埋下での液体窒素による急速凍結と薄切が一般的である.

4.血清免疫グロブリン検査法

戸川 敦

pp.1265-1273

はじめに

 日常臨床での血清免疫グロブリン検査法として,直接各免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM,IgD,IgE)を定量する方法(比ろう法,比濁法など)や血清蛋白電気泳動法,血清蛋白免疫電気泳動法がある.このうち血清蛋白電気泳動はほぼルーチン検査として行われており,大部分の多発性骨髄腫およびその類縁疾患の診断のきっかけとなっている.ここではまずこれらの検査法について述べたあと,免疫固定法やキャピラリー電気泳動法についても述べてみる.

5.フローサイトメトリーによる細胞表面マーカー

清水 長子 , 川合 陽子

pp.1274-1282

はじめに

 白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍の診断には,光学顕微鏡での細胞の形態観察をする形態学的診断(morphological diagnosis)と,細胞表面マーカー検査による免疫表現型病型診断(im-munophenotyping)と,染色体検査による核型診断(karyotyping)の三者が最も重要である.特に,レーザーフローサイトメトリーを用いた細胞表面マーカー検査は,迅速・簡便に造血器腫瘍の細胞帰属や腫瘍化の分化系統段階を判定することが可能であり,造血器腫瘍などの診断には不可欠な検査になっている1~7)

 フローサイトメトリーを用いた検査として「リンパ球サブセット検査」および「造血器腫瘍表面マーカー検査」が普及している.前者はリンパ球のT,B,NK細胞の比率,CD4/CD8比を算定し,免疫動態の診断に有用である.後者は細胞膜表面に存在する蛋白質,糖蛋白などをモノクローナル抗体の反応性によって検出する検査で,分化抗原の分析は腫瘍細胞の系統(lineage)を決定することができる.用いるモノクローナル抗体はCD (cluster of differentiation)番号で整理されており,細胞表面抗原の検査にはモノクローナル抗体に蛍光標識したものを用いる.

6.染色体検査法

嘉数 直樹

pp.1283-1295

はじめに

 今世紀に入って,造血器腫瘍の診断と治療の両面において大きな展開が繰り広げられている.診断面においては,2001年に包括的な造血器腫瘍の病型分類法として新WHO分類が発表された1).造血器腫瘍は,血液塗抹標本あるいはリンパ節などの生検病理標本における細胞や組織の形態学的所見に基づいて病型分類されてきた.しかし近年,造血器腫瘍の病型と染色体異常との関連について知見が集積してきたため,新WHO分類では,頻度の高い特異的転座を有する病型が独立した疾患単位として分類されている.

 一方,治療面では,2001年にCMLに対するSTI571やCD20陽性の低悪性度リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫に対するリツキシマブが相次いで認可され,分子標的療法として本格的に臨床に導入されるようになった.CMLではt (9;22)(q34;q11)転座,マントル細胞リンパ腫ではt (11;14)(q13;q32)転座が,病型に特異的であり,それぞれの診断において染色体検査は重要な意味をもつ.今後,特定の染色体・遺伝子異常に選択的に作用する分子標的療法が次々と開発されるであろう.それに伴い,染色体検査で的確に病型特異的転座を検出することは,診断はもとより,治療法の選択のうえでもさらに大きな意義をもつようになるであろう.

7.遺伝子検査法

宮地 勇人

pp.1297-1305

はじめに

 近年,造血器腫瘍の遺伝子検査は,分子レベルの病態解明と検出技術の開発さらに平成10年度から造血器腫瘍核酸増幅検査が保険収載されたことにより日常検査として定着しつつある.特に病型に特異的な転座型染色体異常をもつ白血病,悪性リンパ腫において,確定診断,治療後モニタリングなど患者診療に不可欠となった1,2).遺伝子解析技術には大きく分けて核酸プローブ法と核酸増幅法がある.核酸プローブ法は特定の核酸断片をプローブとして,相同性をもつ塩基配列と結合する性質を利用したハイブリダイゼーションにより目的の核酸配列を検出する.核酸増幅法は特定の核酸断片(または結合プローブやシグナル)を特異的に高度に増幅する.造血器腫瘍の診断に用いられる遺伝子解析技術として,核酸プローブ法にはサザンブロット法,ノザンブロット法,蛍光in situハイブリダイゼーション法(fluorescencein situ hybridization;FISH)などがあり,核酸増幅検査では主にポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)法,RT―PCR法が用いられている.PCR法は,少量の検体から高感度に迅速に,目的とするDNAまたはRNAを検出でき,測定の自動化や保存検体からの検出が可能など多くの利点があり,広く利用されている.

8.微小残存病変

川又 紀彦

pp.1307-1313

はじめに

 造血器腫瘍は,近年化学療法剤の進歩や造血幹細胞移植の導入により飛躍的に長期予後が改善してきた疾患の1つである.治療の進歩に伴い,治療効果の判定,再発の早期発見といった微小残存病変(minimal residual disease;MRD)の有無を正確に知る方法論も検討されてきた.急性白血病においては以前は光学顕微鏡による形態判定による残存病変の有無の検討が主流であり,特徴的な白血病細胞の出現や芽球の増加など腫瘍細胞数が全細胞中の数%まで増加しなければその検出は困難であった1,2)

 その後,染色体分析法の進歩と各種疾患特異的染色体異常の同定により,異常染色体の検出を使ってMRDの検出が試みられてきた.

9.クロナリティの検査

安藤 潔 , 堀田 知光

pp.1315-1318

クロナリティとは

 細胞が分裂してその子孫から形成される細胞集団をクローンという.われわれの体は両親の受精卵由来のクローンである.また近年話題になるクローンヒツジ,クローン人間などの言葉もヒツジあるいはヒトの単一体細胞から由来する動物個体のことを意味している.この場合の単一細胞由来とは,具体的には核移植により,由来する細胞と同一の遺伝情報をもっていることを指している.

 造血系では赤血球,顆粒球,単球,血小板は共通骨髄系前駆細胞,Bリンパ球,Tリンパ球は共通リンパ系前駆細胞から由来し,これらの前駆細胞はともに造血幹細胞に由来する.正常組織では幹細胞は多数存在するので造血組織全体は多クローン性を示している.一方,造血器腫瘍では単一細胞を起源としたクローン性の増殖を特徴とし,クロナリティを有する(図1).

10.画像検査―1)骨髄造血組織評価

小澤 栄人 , 天沼 誠 , 平敷 淳子

pp.1319-1323

はじめに

 骨髄の病態評価は組織学的検査や末梢血液検査によりなされ,画像診断ではシンチグラムがこれまで主流であった.現在,臨床で用いられるMRIはプロトン(水素原子核)を画像化したものであるが,画像化に当たっては多様な情報キャリアを用いることができ,それぞれの情報キャリアを強調する方法がパルス系列として開発されている.特に骨髄のMRIでは赤色髄および黄色髄の変化が骨髄内脂肪の増減および水の増減として表現されるため,それらを強調および分離したパルス系列を用いた骨髄画像化が一般的に行われている.

 本稿では,MRIによる骨髄造血組織の画像とその変化および骨髄造血組織の量的評価の方法について概説する.

10.画像検査―2)骨病変の診断

小澤 栄人 , 天沼 誠 , 平敷 淳子

pp.1324-1329

はじめに

 血液疾患は,主に骨髄生検と吸引による骨髄の顕微鏡的評価を基にした病理学的方法や腫瘍マーカーによる細胞遺伝学や分子生物学の利用による診断,治療方法や予後判定が行われている.これまで画像診断としてはシンチグラムが主流であったが,近年MRIのT1強調画像およびshort TIinversion recovery (STIR)法などを用いることにより優れた骨髄病変の描出が可能となった1,13)

 骨髄MRIは,各血液疾患での特異性は少ないものの,腫瘍細胞が腫瘤形成した場合の脊髄圧迫やその予後の重要な因子となるステージ分類を決める骨髄浸潤した小病変の検出を非侵襲的に行うことを可能にしている.さらに,その病変が全身的なびまん性の病変か局所的な病変かを診断し,骨髄生検を行う場所や治療に対する反応評価に用いることが可能である.

10.画像検査―3)悪性リンパ腫の病期診断

植松 稔

pp.1330-1332

はじめに

 悪性リンパ腫の予後を推察し,最良の治療法を決定するためには,組織型の病理診断とともに,進行度を示す病期診断が必要不可欠である.ここでは,一般的なAnn Arbor分類(表1)に従った病期決定をするために有用な画像診断について解説する.画像診断をしっかり行っておけば,International Prognostic Index (IPI)に正確に対応することも容易である.

11.ウイルス―1) CMV

森 毅彦

pp.1333-1335

はじめに

 サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)は正常な免疫能をもつ宿主に感染した場合には多くの場合は無症候性に経過するが,一生涯,潜伏感染状態を維持する.わが国の成人の抗体保有率は,近年,低下傾向がみられてはいるものの,およそ90%である.これらの抗体陽性者が,後天性免疫不全症(AIDS)や造血幹細胞移植や固形臓器移植などにより高度な免疫不全状態となった場合にCMVは再活性化して各種感染症を発症する.感染症としては肺炎,腸炎,網膜炎,肝炎などがある.抗CMV作用をもつ薬剤としてはganciclovir, foscarnet, cidofovirなどがあるが,いったん発症すると重篤化し,特に肺炎ではしばしば致命的となる.また妊婦から胎児への感染による先天性CMV症は巨細胞封入体症として古くから知られており,重篤な合併症をきたす.本稿ではCMV感染症の診断法の基礎についてまとめ,各種検査法を臨床応用する際の問題点についても述べる1)

11.ウイルス―2) EBV

森 毅彦

pp.1336-1338

はじめに

 Epstein-Barr virus (EBV)は1964年にBur-kittリンパ腫細胞から最初のヒト癌ウイルスとして発見された.その後,EBVは大部分のヒトに潜伏感染していることが明らかとなった.EBVはBurkittリンパ腫だけでなく,免疫不全患者に合併する日和見リンパ腫やポジキン病などにも関連する可能性が指摘されている.またEBVの初感染像は伝染性単核球症が有名であり,小児で最も多い急性感染症の1つである.本稿ではEBV感染症および関連腫瘍の検査法について概説する.

11.ウイルス―3) HTLV-I

森 毅彦

pp.1339-1340

はじめに

 Human T lymphotrophic virus-I (HTLV-I)は成人T細胞白血病・リンパ腫(Adult T-cellleukemia/lymphoma;ATL)を引き起こすレトロウイルスである.ATLに対する標準的な治療法はなく,治癒させることは不可能とされている.しかしながら,近年,同種造血幹細胞移植により治癒を目指した治療が検討されており,その結果が期待される.またHTLV-IはATL以外にも慢性の痙性脊髄麻痺の病状を示すHTLV-Iassociated myelopathy/tropical spastic para-presis (HAM/TSP)などを引き起こすことも知られている.本稿ではHTLV-Iの検査法とそれにより引き起こされる腫瘍としてATLの検査法について述べる.

12.真菌症の血清診断とDNA診断

森 健

pp.1341-1346

はじめに

 白血病・悪性リンパ腫や各種の悪性腫瘍を含む重篤な基礎疾患に対する治療法の進歩により,これらに罹患した症例の延命が可能になるとともに,合併する感染症,いわゆる日和見感染症の増加が指摘されて久しい.

 日和見感染症の中でも深在性真菌症は特に注目されている疾患であり,細胞性免疫不全をきたす疾患に合併する.多くは先行する細菌感染症に対して強力な抗菌剤療法を行った後に,抗生剤不応の発熱・胸部異常陰影などを伴って発症する.しかもひとたび合併すると予後不良になりやすい.その原因は基礎疾患が完全な治癒が得られ難いこと,診断が難しく治療開始が遅れがちであること,奏効する治療薬剤が限られていることなどが挙げられる.

Ⅳ 検査の実際

1.急性白血病―1)急性骨髄性白血病

一色 郁子 , 岡本 真一郎

pp.1348-1354

診断のための検査

 急性白血病は,造血幹細胞または造血前駆細胞に,分化成熟のある一定段階で分化を停止するという異常が起こり発症する造血器悪性腫瘍である.この分化成熟能の欠損により白血病細胞(芽球)が主として骨髄内に蓄積し,これに伴う正常造血の抑制,芽球の臓器浸潤によって様々な本疾患の臨床像が完成する.臨床的には,再生不良性貧血などの汎血球減少を呈する疾患や末梢血に芽球出現を認める病態(癌の骨髄転移,骨髄線維症など)との鑑別が必要となる.しかし,急性白血病の基本的な特徴は骨髄での芽球の増加であるから,骨髄穿刺をして芽球の増加を確認できれば診断はそれほど困難ではない.骨髄から骨髄血が吸引できない場合は骨髄生検を施行し,芽球の増加を確認する.稀に急性白血病が腫瘤を形成して発症することがある.この場合は,腫瘤の生検標本に後述する染色を施行し診断を確定する.

 急性白血病と診断された場合は,次に急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia;AML)か急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leu-kemia;ALL)かを確認し,さらにそのなかでの病型診断を行う.AML,ALLで基本的な病態,治療方針が大きく異なるわけではないが,両者の間で臨床像,治療に用いる薬剤が多少異なっているので,その鑑別診断を行うことの臨床的意義は大きい.

1.急性白血病―2)急性リンパ性白血病

一色 郁子 , 岡本 真一郎

pp.1355-1360

診断のための検査

 急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leu-kemia;ALL)の基本的病態,治療は急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia;AML)と同様であるが,その臨床像,治療に用いられる薬剤は多少異なっている.また,急性リンパ性白血病の診断において問題となってくるのは悪性リンパ腫の骨髄浸潤・白血化との鑑別である.基本的には,正常の成熟過程で骨髄中に留まる段階までのリンパ球の腫瘍化を白血病と,それ以降の分化段階での腫瘍化をリンパ腫と定義する.この鑑別診断には,形態に加えて後述する細胞表面マーカーの検索が役立つ.

2.慢性白血病―1)慢性骨髄性白血病

高山 信之

pp.1361-1367

はじめに

 慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia;CML)は,主に顆粒球系細胞の異常増殖を特徴とする慢性期に始まり,3~5年の経過で移行期を経て最終的には急性転化に至る白血病である1).1960年代に発見されたPhiladelphia染色体[t(9;22)(q34;q11)]という疾患特異的マーカーの存在は,この疾患が多能性幹細胞のクローン性増殖であることを完壁に証明し,また,日常の診断を単純明快にした.次いで1984年,当時急速な勢いで発展していた分子生物学の恩恵を受け,Philadelphia染色体の本体が9番染色体上のABL遺伝子と,22番染色体上のBCR遺伝子の融合によるBCR/ABL遺伝子の形成であることが明らかにされ(図1),CMLの病態解明は大きく進歩することになる.このように他の白血病の先陣を切って分子レベルでの解明が進んだCMLは,以降,様々な遺伝子診断法が応用されるに至り,CMLは常に新しい検査技術のモデルケースであり続けているといえる.その背景には,造血幹細胞移植,インターフェロン療法,そして最近では分子標的治療薬であるImaitnib mesylate(Glivec®)の開発などの治療法の進歩により,残存白血病細胞のレベルをモニターすることが臨床サイドからの大きな要求とされていることも見逃せない.本稿では,CMLにおける最近の検査法の進歩について概説する.

2.慢性白血病―2)慢性リンパ性白血病

高山 信之

pp.1369-1374

はじめに

 慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leu-kemia;CLL)は,成熟リンパ球の単クローン性の異常増殖を特徴とする疾患である.様々な類縁疾患が存在するが,通常CLLといえばCD5,CD19,CD20陽性のB細胞性のリンパ増殖性疾患のみを指す.50歳以上の中高齢者に多く,若年者には稀である.欧米では全白血病の約30%を占めるが,わが国では1~3%と少なく,発症頻度に極端な人種差があるのも特徴である.その名の通り経過は慢性であるが,通常の化学療法では治癒は困難である.慢性骨髄性白血病と異なり多くの類縁疾患があるために,まず診断を確定することが重要である.

3.骨髄異形成症候群・慢性骨髄増殖性疾患―1)クロナリティー

唐沢 正光

pp.1375-1379

はじめに

 リンパ増殖性疾患では,Bリンパ球系の疾患は免疫グロブリン遺伝子,Tリンパ球系の疾患はT細胞受容体遺伝子のDNA再構成を指標としてクローン性の診断が行われる.また,染色体分析により,同一の異常が多くの分裂期細胞で検出されればクローン性の造血が強く示唆される.しかし,そのような指標を欠く正常核型の骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)や慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leuke-mia;CML)以外の慢性骨髄増殖性疾患(chronicmyeloproliferative disorders;CMPD)などにおいても,X染色体遺伝子の多型(polymorphism)とメチル化による遺伝子不活化現象を利用した方法によりクローン性の判定が可能である(対象は女性に限られる)1)

3.骨髄異形成症候群・慢性骨髄増殖性疾患―2)白血球機能

新倉 春男

pp.1380-1384

はじめに

 骨髄異形成症候群(myelodysplastic synn-drome;MDS)および慢性骨髄増殖性疾患(chronic myeloproliferative disorders;MPD)はいずれもクローン性の造血異常であるが,前者は血球減少と形態異常を特徴とするのに対し,後者は著明な血球増加を示すが,明らかな形態異常は認められない.MDSは高頻度に急性白血病に移行し,前白血病状態として捉えられているが,急性白血病に移行しない患者でも生命予後は極めて不良で,ほとんどは重症感染症あるいは出血で死亡する.易感染性の第1の要因は好中球減少であるが,減少がそれほど高度でなくてもしばしば感染症が起こる.したがって好中球機能の異常が要因の1つであると考えられるのは当然であるが,実際には,臨床の場で臨床検査として白血球機能の検査が行われることはほとんどないといってよい.白血球機能はその環境,条件によって大きく左右されること,標準化が困難なこと,確立した検査法が十分普及していないことなどがその原因と考えられる.多くの研究者の報告では,MDSにおいて様々な好中球機能の異常が認められ,易感染性との関連性が指摘されている.一方,MPDでは一部の慢性骨髄性白血病と骨髄線維症を除いて明らかな好中球機能異常は認められず,また,易感染性も急性転化するまではほとんど問題にはならない.

3.骨髄異形成症候群・慢性骨髄増殖性疾患―3)血小板機能

新倉 春男

pp.1385-1389

はじめに

 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syn-drome;MDS)における出血傾向の主因はいうまでもなく血小板減少であるが,血小板数が正常ないし軽度の減少例で出血傾向をみることがあり,血小板の質的異常つまり,機能異常によるとされている1,2).形態異常として,小巨核球(micro-megakaryocyte),分離多核巨核球,円形単核巨核球,巨大血小板,血小板顆粒異常などがみられ,異常巨核球の比率が高い例で機能異常の頻度が高い傾向がみられる3)

 一方,骨髄増殖性疾患(chronic myeloprolifer-ative disorders;MPD)では多くが血小板増加を示し,出血あるいは血栓症を合併することがあり,やはり血小板機能異常に帰せられるが,MDSのような巨核球の形態異常はほとんどみられないこと,骨髄抑制治療によって血小板数を正常ないしその近くまで減少させることにより,機能が改善するとともに出血や血栓症の合併のリスクが減少することから,血小板の著明な増加が機能異常に密接に関連すると考えられる4)

4.悪性リンパ腫―1)診断のための検査

今井 裕 , 中村 栄男

pp.1390-1400

はじめに

 悪性リンパ腫の病理診断に際して最も重要なことは,病変が腫瘍性か反応性かを鑑別することである.次いで,腫瘍とすればリンパ腫かあるいは非リンパ球系腫瘍か,さらにリンパ腫とすればその亜型はいずれに相当するかが常に問題となる.悪性リンパ腫診断のための検査とは,これらの判断に際して必要な一連の解析手段といえる.

 一方,分子生物学手法を用いた解析により,腫瘍発生に関する知見は近年飛躍的に高まりつつある.悪性リンパ腫においても従来の病理組織像による診断のみならず,腫瘍細胞の起源や発生の分子機構を積極的に考慮した分類が提唱された.すなわち,2001年に発表されたWHO分類1)では,組織・細胞所見はもとより,免疫学的,分子生物学的な解析結果を積極的に取り入れ,これらを総合的に判断することが求められるようになった.このため悪性リンパ腫の診断における検査の重要性が増している2,3)

4.悪性リンパ腫―2)病期分類のための検査

大野 仁嗣

pp.1401-1405

はじめに

 病期は,悪性リンパ腫の代表的なリスクフアクターであり,治療方針の決定や予後予測には不可欠である.限局期の症例は放射線照射だけで治癒することがある一方,進行病期の症例の大半は化学療法の適応となる.病期の決定には画像診断が主体となるが,病歴や身体診察による情報も重要である.本稿では,悪性リンパ腫の病期分類のために行われる臨床検査や画像検査を概説する.

4.悪性リンパ腫―3)予後予測,治療効果判定のための検査

一井 倫子 , 田野崎 隆二

pp.1407-1414

はじめに

 現在,悪性リンパ腫は,①病理組織型,②治療開始時の疾患の進展度,③患者条件(年齢,全身状態,合併疾患)が予後と相関することがわかっており,これらを基に予後を予測し,治療方針を決定していくことが一般的である.これにより,根治が可能となった症例も多いが,いまだに死亡率は高く,また,症例各々による個人差があることもはっきりしている.例えば,診断時に予後良好と予想されたにもかかわらず,治療開始時より抗癌剤不応性であったり,後に早期再発を来たす症例をしばしば認める.

 近年,分子生物学,細胞遺伝学,免疫学の進歩により,腫瘍細胞の発現蛋白や染色体,遺伝子レベルでの解析が行われるようになったことで,細胞分化や遺伝子変異に基づいた腫瘍細胞の分類・予後予測,薬剤感受性の予想などが可能となり,また,治療後の残存病変を遺伝子レベルで評価することが可能となりつつある.また,検査技術の進歩に伴い,より迅速に,かつ一般的にこれらの検査が行われるようになりつつある.

5.ATL

武本 重毅 , 田口 博國

pp.1415-1418

成人T細胞白血病(ATL)

 ATLは1977年に,当時京都大学第一内科の高月らのグループにより独立した疾患として報告された1).特徴的な核の形態異常,慢性リンパ球性白血病のようでありながらT細胞であること,患者の出身地が九州であることなどからウイルス感染が原因であることが推測されていた.その後,ATLA抗体(adult T-cell leukemia virusassociated antigen)の存在2),ヒトで初めて腫瘍を起こすレトロウイルスとして発見されたヒトTリンパ球向性ウイルスⅠ型(human Tlymphotropic virus type I;HTLV-Ⅰ)の存在3)などが明らかとなっていった.また,4病型の診断基準あるいは発症後に多くみられる合併症,そしてそれらに対する治療法とその効果,さらには予後などの情報が,この25年間に蓄積されてきた.したがって,診断基準に照らし合わせながら,患者のプロフィール,臨床症状,検査などから総合的に診断を進めていくことになる(図1).

6.多発性骨髄腫と関連疾患―1)骨病変の画像評価

安倍 正博 , 大島 隆志 , 小阪 昌明

pp.1420-1425

はじめに

 多発性骨髄腫は単クローン性の形質細胞が骨髄内に集積する腫瘍性疾患であり,わが国の人口の高齢化に伴い増加傾向にある(人口10万人あたり2.5人).大多数の症例では,血中の単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)と広範な骨破壊病変を伴っている.初発症状としては腰背部痛など骨病変による痛みが最も多い(47.6%).骨病変は頭蓋骨,肋骨や胸・腰椎などの躯幹骨に多く,骨粗鬆症や脊椎の圧迫骨折などを認める.骨病変は進行性であり,骨痛や骨折のため患者のQOLは大幅に低下する.さらに進行すれば高カルシウム血症や脊椎圧迫骨折のため脊髄麻痺などを併発し,生命予後を悪化させる.骨病変の評価は,病期の診断や患者管理あるいは治療法の選択に重要である.

6.多発性骨髄腫と関連疾患―2)アミロイドーシスの診断

若槻 真吾 , 安倍 正博 , 小阪 昌明

pp.1427-1430

はじめに

 アミロイドーシスは,各種の前駆蛋白より誘導された一群の異常蛋白からなる病態線維(アミロイド)が身体諸臓器の間質に沈着し,それらの機能障害を起こす疾患群である.現在約20種類のアミロイド前駆蛋白が同定されている.

 多発性骨髄腫症例の10~15%にアミロイドーシスがみられ,アミロイドーシスを伴わない症例に比べ,明らかに予後が悪い1,2)

6.多発性骨髄腫と関連疾患―3)IL-6レセプター

中原 英子 , 吉崎 和幸

pp.1431-1435

はじめに

 多発性骨髄腫は,モノクローナル高γグロブリン血症と骨融解性病変を特徴とする形質細胞の腫瘍性増殖性疾患であり,その病態形成にインターロイキン6(IL-6)の関与が示唆されている.IL-6は膜結合型あるいは可溶性IL-6レセプター(IL-6R,sIL-6R)と結合することで初めてそのシグナルを細胞内に伝達することが可能となる.本稿では,多発性骨髄腫におけるIL-6Rのかかわりを中心に解説したい.

6.多発性骨髄腫と関連疾患―4)粘稠度

得平 道英

pp.1436-1438

血液粘稠度の測定

 流動している液体の粘性を規定しているのは,ずり応力および,ずり速度である.上下の平面に囲まれた間に液体があるモデルでは,片方の面が動くことにより液体は動き出す.このとき,動いている面に近い部分では速度が速く,離れるほど速度が遅い.この速度の変化をずり速度と呼んでいる.このずり速度はそのずれにより,一定の速度に収まる動きを起こす.すなわち早い流れは遅いほうに引き戻す力が働き,これをずり応力と呼ぶ.ずり応力はずり速度に比例することから,これをNewtonの粘性流動の法則と呼んでいる.粘度(粘稠度)とはこの両者間の係数であり,一般的に水や気体などでは粘度は物質により一定の値を示す.しかし,非Newton流体と呼ばれる血液やコロイド溶流などでは,その粘度はその時々のずり速度に応じて変化する1)

 生体内では,血液の粘稠度を規定している因子として血漿蛋白,血球数,血管抵抗および血球変形(主として赤血球)などが挙げられる.血液粘稠度として,毛細管の一定体積の中を検体が通過するのに要する時間を測定することにより粘度を求める測定系(Ostwald粘稠計もしくはHess粘度計など)が知られている.Ostwald粘稠計を用いた検討では,水を1とした場合の正常人の相対血清粘稠度は1.4~1.8であった.

6.多発性骨髄腫と関連疾患―5)骨代謝マーカー

得平 道英

pp.1439-1441

はじめに

 近年骨代謝のメカニズムに関し,骨を取り巻く種々の代謝産物を測定することによって解明が進んできている.これらの代謝産物を骨代謝マーカーと呼び,骨形成マーカー,骨吸収マーカーに大きく分けるのが通常である.骨は80%の皮質骨と20%の海綿骨より形成されている.前者は主としてオステオンという円柱状の構造体,後者はパケットという半月体の構造体から形成され,破骨細胞および骨芽細胞の両細胞による破壊,構築が絶えず行われて骨が維持されている.このバランスが骨吸収優位に傾くと,骨粗鬆症や多発性骨髄腫の骨破壊の病態となる.本稿では,骨代謝マーカーを全体的に解説した後,多発性骨髄腫における代謝マーカーおよび治療としてのビスホスホネート(Bisphosphonate;BP)製剤について記述する.

7.移植―1)造血幹細胞測定法

海老原 康博 , 辻 浩一郎

pp.1443-1449

はじめに

 血液中には形態と機能を異にする種々の血球が存在しているが,それらはいずれも固有の寿命で崩壊している.この膨大な数の血球を供給し続けるためには,血球の源となる未分化な細胞のプールが必要であり,これらの細胞を造血幹細胞と呼ぶ.造血幹細胞は自己複製能(細胞分裂により自己と同じ能力を有する細胞を複製する能力)とすべての血球細胞に分化できる性質(多分化能)を有することで自己のプールを保持し,一生にわたる血球産生を可能にしていると考えられている.造血幹細胞は分化・増殖し,各種造血前駆細胞の段階を経て最終的には成熟血球へと分化,成熟していく(図1).この過程は様々なサイトカインにより調節されていることが明らかとなっている.

 造血幹細胞を移植することにより病的造血を正常造血に置換することを目的とする造血幹細胞移植療法は,種々の血液疾患や腫瘍性疾患に対する根治的治療法として確立している.さらに最近では,造血幹細胞を体外で増幅しようという試みや造血幹細胞を標的細胞とする遺伝子治療も行われようとしている.本稿では,これらの治療・研究の根本となる造血幹細胞の測定法について概説する.

7.移植―2) HLAタイピング

田中 秀則 , 赤座 達也

pp.1450-1456

はじめに

 現在,同種間の造血幹細胞移植として,骨髄移植,臍帯血移植,あるいは末梢血幹細胞移植などがあり,種々の造血器腫瘍に有効な治療法として実施されている,これらの治療法において,非自己の造血幹細胞を移植する場合は,患者と提供者の主要組織適合性抗原であるHLA (human leu-kocyte antigen;ヒト白血球抗原)の適合度を向上させることが,治療を成功させるための重要な要素となる.

 本稿では,HLA分子と機能,HLA遺伝子,HLA型およびHLAの適合性に関して概説し,HLAタイピング法については各検査法の原理を中心に紹介したい.

7.移植―3)キメリズム

中条 達也 , 中尾 眞二

pp.1457-1460

はじめに

 同種造血幹細胞移植後に,提供者(ドナー)の造血幹細胞が生着すると,やがてすべての血液細胞はドナー由来細胞によって置き換わる.このように,患者である宿主(ホスト)の体の中にドナーの血液細胞が存在する状態をキメラと呼ぶ.ホストの血液細胞が完全に排除されすべてドナー由来細胞に置き換わった場合には完全キメラと呼び,多少ともホストの血液細胞が残存している場合には混合キメラと呼ぶ.造血幹細胞移植後のキメリズムとは,血液細胞中のドナー由来細胞とホスト由来細胞の混合の程度を指している.

7.移植―4)移植とウイルス

佐々木 治 , 阿部 正理 , 宮村 耕一

pp.1461-1464

はじめに

 造血幹細胞移植後の患者は造血回復までの好中球低値,移植片対宿主病に対しての免疫抑制剤投与などにより易感染性の状態にあり,各種感染症をしばしば合併する.特にウイルス感染症は重篤となる症例も多く,移植成績に大きな影響を与えている.同様に,臓器移植でも免疫抑制剤の長期投与が不可欠で同様な問題がある.本稿では,造血幹細胞移植後のウイルス感染症について,診断および治療選択に重要な検査を中心に据えて述べてみる.

7.移植―5)免疫抑制剤の血中濃度モニタリング

早川 智久 , 森田 邦彦 , 谷川原 祐介

pp.1465-1468

はじめに

 骨髄移植術後には,移植片対宿主病(graft ver-sus host disease;GVHD)の回避を目的にシクロスポリン(CyA)やタクロリムス(FK 506)などの免疫抑制剤の投与が必須となる.

 これらはいずれも血中濃度の有効・安全域が狭く,いわゆる"サジ加減"が難しいとされる薬剤であることから,薬物血中濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring;TDM)に基づく綿密な治療管理あるいは投与設計が必要とされる.すなわち,有効かつ安全な血中濃度域を上回れば,肝障害や腎障害が発現し,逆に下回れば拒絶反応が起こるなど,これら免疫抑制剤のTDMの実践は,骨髄移植をはじめとする移植医療の成否を左右しかねない重要な位置づけといえる.

7.移植―6)免疫再構築の検査

菱澤 方勝 , 今田 和典 , 一戸 辰夫 , 門脇 則光

pp.1469-1473

はじめに

 造血幹細胞移植の実施時には,前処置として用いられる化学療法や放射線治療によってホストの免疫系はいったん破壊され,移植片が生着した後のドナー由来造血細胞によって,免疫系も再構築される.このような過程を経て,ホストの免疫系が量的・質的ともに十分に回復するためには,数か月から1年以上を要するとされており,この期間内におけるホストの免疫再構築を評価することは臨床的にも重要である.

 本稿においては,造血幹細胞移植後における免疫再構築,特にT細胞プールの回復の評価のために用いられている検査方法として,フローサイトメトリーを用いた末梢血リンパ球サブセットの解析の意義を概説する.また,最近,胸腺機能の評価法として多くの臨床研究に応用されつつある,定量的なPCR法を用いたT-cell receptorexcision circle (TREC)の測定方法を紹介する.

7.移植―7)ドナーの評価

星 順隆

pp.1474-1477

はじめに

 近年,悪性腫瘍の治癒が期待できる治療法として,骨髄移植などの造血細胞移植を併用する超大量化学療法が定着してきた.1991(平成3)年に骨髄移植推進財団(公的骨髄バンク)が設立され,2000(平成12)年には臍帯血バンクネットワークが稼動しはじめ,造血細胞移植の支援体制が整った.さらに2000(平成12)年4月に同種末梢血幹細胞移植(血縁)が健保適用となり,造血細胞移植は急展開してきた.骨髄のみならず,末梢血,臍帯血より造血幹細胞を採取する機会が増加してきた今日,選択肢の増加に伴って適切なドナー選択が求められるようになった1)

 本稿では,造血細胞ドナーの評価に関して,骨髄移植推進財団におけるドナー評価を中心に,非血縁ドナーと血縁ドナー,骨髄と末梢血ドナーの留意点の差について述べる.

ひとくちメモ

SPECTとPET

遠藤 啓吾

pp.1480

 造血器腫瘍,特に悪性リンパ腫の画像診断の1つとして核医学検査が行われる.投与される放射性薬剤(アイソトープ;RIともいう)は,67Ga (ガリウム)と18F-FDG (エフディジー).67GaはSPECT(スペクト)製剤,FDGはPET (ペット)製剤とも呼ばれる(表1).いずれも放射能をもつ物質なので放射性管理区域でしか使用することができない.

 67Gaは半減期が67時間と比較的長いため,全国1,000あまりの病院で診療に利用されている.これに対しFDGは半減期が2時間のフッ素-18で標識したブドウ糖の誘導体で,病院の敷地内で製造し患者に投与するため大がかりな設備が必要で,わが国では約50の施設でしか使用することができない.といってもブドウ糖代謝を画像化するには,このFDGを用いるPET検査しかない.悪性細胞ではブドウ糖代謝が亢進しており,投与したFDGは腫瘍細胞に取り込まれ,腫瘍は陽性像として描画される(図1).化学療法で治療効果があると,FDGの取り込みは減少,消失する.

造血器腫瘍と血管新生

山田 健人

pp.1481-1483

 固形腫瘍(癌や肉腫)では,血管新生が腫瘍の形成,転移,浸潤に重要であることが明らかとなっている.しかし,これまで造血器腫瘍(白血病,リンパ腫,骨髄腫など)における血管新生の役割については,注目されていなかった.1994年,Vaccaらが,多発性骨髄腫において,骨髄での血管新生と腫瘍の活動性が相関することを報告1),さらにPerez-Ataydeらが,小児ALL (Acute lymphob-1astic leukemia)において骨髄での血管新生の亢進を見出し,さらに治療によりその血管密度が減少するとともに,尿中FGF-2(Fibroblast Growth Fac-tor-2,別名basic FGF)が減少するとの報告2)から,造血器腫瘍における血管新生が注目されるようになり,新たな治療の標的になりうるかを含めて,関心を集めている.本項では,この造血器腫瘍における血管新生の実態とこれまでの知見を概説する.

 腫瘍は,その増殖・進展・浸潤・転移のいずれの過程においても血管新生や腫瘍間質形成と密接な関係にある.固形腫瘍が一定以上の大きさに増殖するときには,酸素,栄養の補給と代謝産物の排泄が不可欠であり,新生血管の要求性が高い.例えば血管が新生しない場合の腫瘍の大きさの限度は,約2mmといわれており,癌細胞は新生血管ができることによって細胞死・壊死から逃れられる3)

Rituximab

加藤 淳

pp.1484

 Rituximab (商品名リツキサン)は米国のIDEC社とGenentech社により共同開発されたマウス-ヒトキメラ型抗CD20モノクロナル抗体で,可変部(Fab部分,CD20結合部位)はマウス,定常部(Fc部分)はヒトIgG1で構成され,B細胞リンパ腫や自己免疫疾患に対する新しい治療法(抗体療法)を担う有力な抗体として近年注目されている.現在わが国では,CD20陽性の低悪性度または濾胞性B細胞リンパ腫とマントル細胞リンパ腫に適応が認められている.

 CD20はlate pre-B細胞から形質細胞に至る前段階までのB細胞に特異的に発現する細胞膜蛋白であり,カルシウムチャンネル複合体を形成するか,またはそれを調節する機能を持ち,B細胞の活性化,分化,増殖に関与することが知られている.

ヒト化抗IL-6レセプター抗体,MRA

中原 英子 , 吉崎 和幸

pp.1485-1486

1.MRAの構造

 MRAは遺伝子組換え技術を用いてチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生させたヒト化抗インターロイキン(IL-6)レセプターモノクローナル抗体である.関節リウマチ(rheumatoid arthri-tis;RA)などの自己免疫疾患や多発性骨髄腫に対する治療薬として開発された.

 MRAは214個のアミノ酸残基からなるL鎖と449個のアミノ酸残基からなるH鎖がS-S結合によって結合したH2L2タイプのヒト化抗体であり,サブクラスはIgG1である.IL-6レセプターに対するマウスモノクローナル抗体(マウス抗IL-6レセプター抗体)の抗原認識に必須の相補性決定領域(Complementarity Determining Regions;CDR)の遺伝子のみを残しそれ以外の部分をヒト免疫グロブリン遺伝子と置換してヒト化された(図1).ヒト化抗体は,マウス抗体やマウス抗体のうち可変領域のみを残しそれ以外の部分をヒト免疫グロブリンに置き換えたマウス・ヒトのキメラ型抗体に比べヒトでの抗原性が低下し,MRAに対する抗イディオタイプ抗体の出現の可能性が減少したため反復投与が可能となった.

MGUS

戸川 敦

pp.1487-1488

 MGUSはmonoclonal gammopathy of undeter-mined significance"意義不詳の単クローン性γグロブリン血(尿)症"の略語で,M蛋白がみられながら骨髄腫やマクログロブリン血症,アミロイドーシスあるいはその他の形質細胞増多症やリンパ増殖性疾患と診断のつかない病態をいう.Waldenströmのessential hyperglobulinemiaに始まってMGUSと同様の病態がbenign monoclonal gammopathyidiopathic-,asymptomatic-,cryptogenic-,lanthanic-,rudimentary-,nonmyelomatous-,discrete-と様々な名称でよばれてきた.

 1966年Kyleら1)は"Benign"monoclonal gam-mopathy;a potential malignant condition?の論文の中で18年後に骨髄腫に移行した症例を掲げ,benignの名に疑問符を付した.さらにKyle2)は1978年,平均5年間経過観察した241例のうち11%が骨髄腫およびその類縁疾患に移行したことを述べ,これらの病態の予後が必ずしも良くないこと,さらにM蛋白の出現の意義が明らかでないことからMGUSと命名した.

サリドマイド

加藤 淳

pp.1489

 サリドマイドは40年以上前から鎮静剤,次いで"つわり"に対する治療薬として用いられてきたが,催奇形性と神経毒性が認識されてからは薬剤として長らく忘れ去られていた存在であった.しかしその後,らい病の結節性紅斑や,AIDSに伴う悪液質,ベーチェット病の口内炎,造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対する有効性が認められ,今日治療薬として用いられるに至っている.近年新たに抗腫瘍効果のほかに,感染症や自己免疫疾患に対する有効性が認められ,臨床応用が検討されている(表1).とりわけ化学療法に抵抗性になった多発性骨髄腫に対する有効性は約30%と報告され,新たな作用機序を備えた薬剤として注目されている.

 サリドマイドの作用機序は不明の点が多いが,免疫調節と血管新生抑制の2つの効果が明らかになっており,多発性骨髄腫に対する抗腫瘍効果として以下の機序が考えられている.

ヒ素化合物(亜ヒ酸)

加藤 淳

pp.1490-1491

 これまでヒ素化合物は毒物であり,かつ強力な発癌物質であるとみなされてきたが,実際には人類が数千年にわたり薬として用いてきた古い歴史がある.現代の西洋医学では中枢神経症状を伴ったTrypanosoma症に使用されるのにすぎないが,漢方では歯髄疾患,乾癬,梅毒,リウマチ性疾患,また西洋医学でも梅毒や慢性骨髄性白血病の治療薬として用いられてきた.この古い毒薬物(?)が新たに脚光を浴びたのは,急性前骨髄球性白血病(APL,AML:M3)に対する有効性を報告したSunらによる衝撃的な論文(1992年)がきっかけであった.彼らがその有効性を発見するに至った経緯は極めて興味深いので以下簡単に紹介したい.漢方と西洋医学の統合をめざしていたハルビン医科大学の医師グループが,地方で行われていた漢方による癌の治療法を調査研究していたところ,1970年に皮膚癌に有効と思われる治療法を知るに至った.分析の結果,薬剤の有効成分がヒ石粉(arsenic stone powder)であることが判明した.しかし,その有効成分である亜ヒ酸(As2O3)を経口投与したところ,重篤な消化器症状や肝障害をきたすことがわかったため,さらに精製して静注してみると著しく副作用が軽減した.そこで1971年以降様々な癌に対する膨大な臨床治験を行った結果,亜ヒ酸はごく限られた癌に有効であることがわかったが,とりわけAPLに対する効果がきわだっていた.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

64巻12号(2020年12月発行)

今月の特集1 血栓止血学のトピックス—求められる検査の原点と進化
今月の特集2 臨床検査とIoT

64巻11号(2020年11月発行)

今月の特集1 基準範囲と臨床判断値を考える
今月の特集2 パニック値報告 私はこう考える

64巻10号(2020年10月発行)

増刊号 がんゲノム医療用語事典

64巻9号(2020年9月発行)

今月の特集1 やっぱり大事なCRP
今月の特集2 どうする?精度管理

64巻8号(2020年8月発行)

今月の特集1 AI医療の現状と課題
今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

64巻7号(2020年7月発行)

今月の特集1 骨髄不全症の病態と検査
今月の特集2 薬剤耐性カンジダを考える

64巻6号(2020年6月発行)

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例

64巻5号(2020年5月発行)

今月の特集1 中性脂肪の何が問題なのか
今月の特集2 EBLM(evidence based laboratory medicine)の新展開

64巻4号(2020年4月発行)

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見

64巻3号(2020年3月発行)

今月の特集1 Clostridioides difficile感染症—近年の話題
今月の特集2 質量分析を利用した臨床検査

64巻2号(2020年2月発行)

今月の特集1 検査でわかる二次性高血圧
今月の特集2 標準採血法アップデート

64巻1号(2020年1月発行)

今月の特集1 免疫チェックポイント阻害薬—押さえるべき特徴と注意点
今月の特集2 生理検査—この所見を見逃すな!

63巻12号(2019年12月発行)

今月の特集1 糖尿病関連検査の動向
今月の特集2 高血圧の臨床—生理検査を中心に

63巻11号(2019年11月発行)

今月の特集1 腎臓を測る
今月の特集2 大規模自然災害後の感染症対策

63巻10号(2019年10月発行)

増刊号 維持・継続まで見据えた—ISO15189取得サポートブック

63巻9号(2019年9月発行)

今月の特集1 健診・人間ドックで指摘される悩ましい検査異常
今月の特集2 現代の非結核性抗酸菌症

63巻8号(2019年8月発行)

今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集

63巻7号(2019年7月発行)

今月の特集1 造血器腫瘍の遺伝子異常
今月の特集2 COPDを知る

63巻6号(2019年6月発行)

今月の特集1 生理検査における医療安全
今月の特集2 薬剤耐性菌のアウトブレイク対応—アナタが変える危機管理

63巻5号(2019年5月発行)

今月の特集1 現在のHIV感染症と臨床検査
今月の特集2 症例から学ぶフローサイトメトリー検査の読み方

63巻4号(2019年4月発行)

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ

63巻3号(2019年3月発行)

今月の特集 血管エコー検査 まれな症例は一度みると忘れない

63巻2号(2019年2月発行)

今月の特集1 てんかんup to date
今月の特集2 災害現場で活かす臨床検査—大規模災害時の経験から

63巻1号(2019年1月発行)

今月の特集1 発症を予測する臨床検査—先制医療で5疾病に立ち向かう!
今月の特集2 薬の効果・副作用と検査値

62巻12号(2018年12月発行)

今月の特集1 海外帰りでも慌てない旅行者感染症
今月の特集2 最近の輸血・細胞移植をめぐって

62巻11号(2018年11月発行)

今月の特集1 循環癌細胞(CTC)とリキッドバイオプシー
今月の特集2 ACSを見逃さない!

62巻10号(2018年10月発行)

増刊号 感染症関連国際ガイドライン—近年のまとめ

62巻9号(2018年9月発行)

今月の特集1 DIC診断基準
今月の特集2 知っておきたい遺伝性不整脈

62巻8号(2018年8月発行)

今月の特集 女性のライフステージと臨床検査

62巻7号(2018年7月発行)

今月の特集1 尿検査の新たな潮流
今月の特集2 現場を変える!効果的な感染症検査報告

62巻6号(2018年6月発行)

今月の特集1 The Bone—骨疾患の病態と臨床検査
今月の特集2 筋疾患に迫る

62巻5号(2018年5月発行)

今月の特集1 肝線維化をcatch
今月の特集2 不妊・不育症医療の最前線

62巻4号(2018年4月発行)

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック

62巻3号(2018年3月発行)

今月の特集1 症例から学ぶ血友病とvon Willebrand病
今月の特集2 成人先天性心疾患

62巻2号(2018年2月発行)

今月の特集1 Stroke—脳卒中を診る
今月の特集2 実は増えている“梅毒”

62巻1号(2018年1月発行)

今月の特集1 知っておきたい感染症関連診療ガイドラインのエッセンス
今月の特集2 心腎連関を理解する

60巻13号(2016年12月発行)

今月の特集1 認知症待ったなし!
今月の特集2 がん分子標的治療にかかわる臨床検査・遺伝子検査

60巻12号(2016年11月発行)

今月の特集1 血液学検査を支える標準化
今月の特集2 脂質検査の盲点

60巻11号(2016年10月発行)

増刊号 心電図が臨床につながる本。

60巻10号(2016年10月発行)

今月の特集1 血球貪食症候群を知る
今月の特集2 感染症の迅速診断—POCTの可能性を探る

60巻9号(2016年9月発行)

今月の特集1 睡眠障害と臨床検査
今月の特集2 臨床検査領域における次世代データ解析—ビッグデータ解析を視野に入れて

60巻8号(2016年8月発行)

今月の特集1 好塩基球の謎に迫る
今月の特集2 キャリアデザイン

60巻7号(2016年7月発行)

今月の特集1 The SLE
今月の特集2 百日咳,いま知っておきたいこと

60巻6号(2016年6月発行)

今月の特集1 もっと知りたい! 川崎病
今月の特集2 CKDの臨床検査と腎病理診断

60巻5号(2016年5月発行)

今月の特集1 体腔液の臨床検査
今月の特集2 感度を磨く—検査性能の追求

60巻4号(2016年4月発行)

今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら