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文献詳細

雑誌文献

臨床検査46巻3号

2002年03月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・15

ウイルス感染における免疫応答と検査―EBウイルス感染症を中心に

著者: 岡野素彦1

所属機関: 1北海道大学医学部附属病院小児科

ページ範囲:P.305 - P.312

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はじめに
 ウイルス感染症は,一般に宿主への感染,増殖,それに対する免疫応答などに基づき特有の疾患発症形態を呈する.また,その感染時期に応じて,初感染と既感染に分けられる.既感染で問題となるのは,再活性化と遅発型感染に伴う顕性感染症の発症である.初感染では相応する疾患の発症がほぼ全例でみられる場合と,必ずしも感染即発症とはならない例がある.前者には,既存の多くのウイルスが挙げられる.後者には水痘帯状疱疹ウイルスは例外ではあるが(初感染のほとんどが水痘となる)ヒトヘルペスウイルス属が代表的である.また,ヒト免疫不全ウイルス(human immu-nodeficiency virus:HIV)は,主にヒト免疫担当細胞に感染することにより免疫不全を引き起こし,その結果通常は病原性のない感染因子の活性化感染である日和見感染症が発症し,宿主に重篤な影響を与えるという特異な感染症である.すなわち,個々のウイルスにおけるそれぞれの感染病態の把握が,疾患を理解するうえで非常に大切となる.
 本稿では,ヒトヘルペスウイルス属のなかで,無症状から悪性リンパ腫にいたる多彩な感染形態が注目されるEBウイルス(EBV)感染症を中心に取り上げる.まず,EBVの性状および個体の免疫応答について言及する.次に,その特異な発症形態を理解するためにEBVの関与する代表的疾患を概説する.それらをふまえて,現在どのような検査が行われているのかを紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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