臨床検査46巻3号

2002年03月発行

研究

AIDS患者から分離したMycobacterium haemophilumの細菌学的性状

鈴木 正人¹ 源 不二彦¹ 柴田 浩子¹ 小柳津 直樹¹ 高橋 孝² 遠藤 宗臣² 後藤 美江子² 中村 哲也² 岩本 愛吉²

¹東京大学医科学研究所附属病院検査部 ²東京大学医科学研究所感染症分野

pp.327-330

文献概要

　われわれは，AIDS患者の皮膚潰瘍からMycobacterium haemophilumを分離した．この菌は小川培地に発育せず血液寒天培地で30℃前後での長期培養によって分離された．同定は，M．haemophilumATCC29548との生化学的性状およびDNAハイブリダイゼーション法で実施した．海外では，免疫不全患者や臓器移植患者から分離されているが，日本においては本例が最初の分離例と思われる．免疫不全患者の皮膚潰瘍部からの検体が塗抹陽性，培養陰性の場合，この菌を含めた抗酸菌の可能性も念頭に置く必要があると考えられた．