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今月の主題 再生医療と幹細胞 巻頭言
再生医療と幹細胞
著者: 菅野剛史12
所属機関: 1浜松医科大学 2浜松医科大学附属病院
ページ範囲:P.347 - P.348
文献購入ページに移動 発生学という領域が存在し,解剖学の一環として教育を受けたことが思い出される.卵が受精し,いろいろな分化・誘導を受けながら個体として成熟していく過程は非常に興味ある領域であった.この学問領域が基盤となり,両生類の四肢の再生などが取り上げられたりし,再生という課題が発生学のテーマの1つになっていったことも興味ある事実であった.そのうちに,骨髄を中心に未分化で増殖能の高い幹細胞の存在が知られ,これら一群の細胞が多機能をもつことと,いくつもの組織・臓器にそれぞれ組織・臓器の幹細胞が見出され,それぞれの組織・臓器に分化していく機構が明らかにされていった.この考え方は,欠損した組織の機能回復に利用できないかと展開され,1984年に人工皮膚を用いて大火傷を負った患者の救命に成功するに至り,再生医療として脚光を浴びることになった.21世紀に展開される新たな医療の領域であることには間違いないこの領域を,いかに自分の身近なものにするかは,われわれにとって重要な問題である.これが,臨床検査に特集として再生医療を取り上げた背景である.
再生医療の展開を期待するためには,この領域に対しての十分な理解が必要とされる.特に,未分化で多くの機能を持つ幹細胞,ヒト胚性幹細胞(ES細胞)などを取り扱う場合に倫理問題は避けられない問題かもしれないが,本稿では,その前提として再生医療,その材料の1つと考えられる幹細胞の特性を十分理解することに焦点を当てることとした.
再生医療の展開を期待するためには,この領域に対しての十分な理解が必要とされる.特に,未分化で多くの機能を持つ幹細胞,ヒト胚性幹細胞(ES細胞)などを取り扱う場合に倫理問題は避けられない問題かもしれないが,本稿では,その前提として再生医療,その材料の1つと考えられる幹細胞の特性を十分理解することに焦点を当てることとした.
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