今月の主題 再生医療と幹細胞
各論
血管内皮前駆細胞を利用した血管再生
著者:
室原豊明12
明石英俊23
新谷理12
岡崎悌之23
吉本幸治4
佐々木健一郎12
嶋田寿文12
秋田孝子12
江上公康25
上野高史12
本間友基12
池田久雄12
佐田通夫4
青柳成明23
今泉勉12
所属機関:
1久留米大学医学部第3内科
2久留米大学循環器病研究所
3久留米大学医学部外科
4久留米大学医学部第2内科
5久留米大学医学部小児科
ページ範囲:P.385 - P.393
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虚血組織をターゲットとした,血管新生療法の研究・開発が進んでいる.欧米では,遺伝子治療による臨床応用が先行しているが,ベクターの選択や安全性など,いまだ解決すべき問題点も多い,一方,従来成人における血管新生は既存の血管内皮細胞の増殖と遊走によるもののみであると理解されてきたが,成人の末梢血液中には,内皮細胞に分化しうる内皮前駆細胞が存在することが最近明らかにされた.これらの内皮前駆細胞は,成人においては骨髄より動員されると考えられている.事実,自己骨髄細胞移植により,虚血組織の血管新生ないしは血流を増強できうることが最近動物実験で明らかにされ,さらにこの分野の臨床応用もわが国では開始されている.本稿では,このような血管新生療法の最近の動向と問題点について述べたい.