icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査46巻4号

2002年04月発行

文献概要

今月の主題 再生医療と幹細胞 話題

培養角膜上皮細胞を用いた眼表面の再建

著者: 平野耕治1

所属機関: 1名古屋大学医学部眼科

ページ範囲:P.423 - P.426

文献購入ページに移動
1.はじめに
 角膜は強膜とともに眼球の外壁を形成する,透明で強靭な膜であり1),0.5~1.0mmの厚さの中に,(1)上皮,(2)ボウマン層,(3)実質,(4)デスメ膜,(5)内皮という5層の構造を認めることができる(図1).角膜の最表層に位置する角膜上皮は5~7層の細胞層からなる重層扁平上皮である.角膜全体を通して約50μmという一定の厚さで,無血管の結合組織の上に存在するという特徴があり,涙液とともに平滑な光沢面を形成して光を透過させる一方で,細胞間の堅固な結合によって細菌や化学物質など病原の侵入を防ぐバリアとして機能している1).角膜上皮は角膜輪部を介して結膜に連なっているが,この角膜,結膜,および角膜輪部の表面外胚葉由来の眼粘膜をまとめてocular surface (眼表面)として捉えていこうという考えが1977年Thoft2)によって提唱されて以来,細胞生物学や免疫学の進歩に伴って広く受け入れられてきている.現在ではこれら粘膜組織に涙や眼瞼もその概念に加えて,眼表面疾患の病態の把握とともにその治療法,すなわち「眼表面再建」について様々な方向から研究されている.
 本稿では,自験例の報告とともに,角膜輪部障害に対する培養角膜上皮移植による眼表面再建について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?