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文献概要
今月の主題 再生医療と幹細胞 話題
骨再生をめぎしてのBMP/骨髄間葉系幹細胞複合体
著者: 池内正子1 大串始1
所属機関: 1産業技術総合側究所ティッシュエンジニアリング研究センター
ページ範囲:P.427 - P.430
文献購入ページに移動整形外科,口腔外科,形成外科における疾患において古くから行われてきた骨移植は,通常患者自身の骨を採取するので採取量には限りがあり,また採取部の合併症も必発である.患者の骨採取を必要としない方法として,近年ハイドロキシアパタイト,ガラスセラミックなどの人工骨が使用されている.これらは生体親和性がよく骨伝導能を有するが,人工骨そのものは骨形成能をもたない無機物で,その応用範囲には限界があり,いまだ自家骨に優る骨再建材料がないのが現状である.そこで,われわれはセラミック多孔体に骨形成能をもたせるために骨髄中に存在する間葉系幹細胞を複合することで,この複合体が優れた骨形成能を有する移植材となることを報告してきた.また,最近ではbone morphogenetic protein(BMP)を複合体に添加し,新生骨形成能をさらに高める研究を行っている.また,移植手術を必要としない注入型の人工骨材料として,BMP/骨髄細胞/コラーゲン溶液複合体における骨形成に関する研究も行っている.本論文では,セラミック内での骨髄細胞の骨形成の概略と,BMP/骨髄細胞複合体の骨形成促進効果について論じる.
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