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今月の表紙 電気泳動異常パターンの解析シリーズ・5
抗IgA(α鎖)抗血清でspurを形成するM蛋白
著者: 藤田清貴1
所属機関: 1信州大学医療技術短期大学部衛生技術学科
ページ範囲:P.462 - P.464
文献購入ページに移動 日常検査では,量的あるいは質的異常を示す様々な検体に遭遇する.特に,病態とかけ離れた異常な数値,あるいは奇妙な電気泳動パターンがみられた場合,どのような原因で起こったのか,それをどのように処理し解析したらよいのか判断に迷うことが少なくない.
図1に67歳,男性のアガロースゲル電気泳動パターンを示す.midからslow-γ位にM蛋白帯が検出された.免疫電気泳動検査を行ったところ,M蛋白帯はlgA-x型M蛋白と同定されたが,抗lgA(α鎖)抗血清に対してspurを形成する2本の沈降線が観察された(図2)1).この現象は抗血清のメーカーを変えても全く同じであった.免疫グロブリンの定量ではIgA4,310mg/dlと著増し,IgGは705mg/dlと減少傾向を示したが,総蛋白量と血清蛋白分画値から算出されたM蛋白量(6,450mg/dl)と血清IgA濃度には明らかな乖離現象が認められた.
図1に67歳,男性のアガロースゲル電気泳動パターンを示す.midからslow-γ位にM蛋白帯が検出された.免疫電気泳動検査を行ったところ,M蛋白帯はlgA-x型M蛋白と同定されたが,抗lgA(α鎖)抗血清に対してspurを形成する2本の沈降線が観察された(図2)1).この現象は抗血清のメーカーを変えても全く同じであった.免疫グロブリンの定量ではIgA4,310mg/dlと著増し,IgGは705mg/dlと減少傾向を示したが,総蛋白量と血清蛋白分画値から算出されたM蛋白量(6,450mg/dl)と血清IgA濃度には明らかな乖離現象が認められた.
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