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今月の主題 筋疾患 話題
福山型先天性筋ジストロフィーの分子生物学―糖鎖,新たな展開
著者: 戸田達史1 小林千浩1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科ポストゲノム疾患解析学講座ゲノム機能分野
ページ範囲:P.543 - P.547
文献購入ページに移動福山型先天性筋ジストロフィー(Fukuyama-type Congenital Muscular Dystrophy;FCMD)は1960年福山らにより発見された,常染色体性劣性遺伝を示す筋ジストロフィーである.わが国の小児期筋ジストロフィーのなかではDuchenne型の次に多く,近年の比較的大規模な調査である2.9/10万人とすると日本人の約90人に1人が保因者となる計算である.日本に1,000~2,000人くらいの患者がいると推定されているが,診断確実例の海外からの報告はほとんどないに等しく,日本人特有の疾患である.
本症は重度の"筋ジストロフィー"病変とともに,多小脳回を基本とする高度の"脳奇形"(胎生期の神経細胞移動期の障害であるII型滑脳症)が共存し,さらに最近は網膜周辺部の特異な円形病変,近視,白内障,視神経低形成,網膜剥離などの"眼症状"も注目されている.すなわち本症は,遺伝子異常により骨格筋―眼―脳を中心に侵す一系統疾患である.
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