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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査46巻6号

2002年06月発行

雑誌目次

今月の主題 細胞診自動化

巻頭言

細胞診自動化

坂本 穆彦

pp.593-594

 細胞診の臨床応用それ自体が婦人科領域で始められたのと同様に,近年の"細胞診自動化"の動きは,まず婦人科細胞診によって先鞭がつけられた.

 従来,細胞診は人手を介するステップの多い検査手法であり,それだけに機械化の難しい分野とされてきた.しかしながら,現代のコンピュータ技術には目をみはるものがあり,越えがたい障壁と思われていたハードルを次々に飛び越えて,新たな地平を切り拓こうとしているかのように見受けられる.この新しい流れは米国を中心に精力的に推し進められており,その結果,日常業務,特に婦人科細胞診の実際は日米で大きな相違が出現している.

総論

細胞診スクリーニング自動化―特にThe state of the artと展望

田中 昇

pp.595-606

 婦人科細胞診スクリーニングの自動化の発想は集団検診の活発化に伴う検体増加に対処すべく考えられたものである.1960年初頭からの世界的な自動化装置開発の競争のなかで,画像処理法,画像解析法,診断論理,パラメータの選択など,基礎的な研究の積み重ねから,engineer-orientedでなくmedical-orientedの構想で開発されたわれわれの東芝との共同開発になるCYBEST装置が,field testのdataを含めて現在でも最高水準と評価されている(Wiedら).米国FDA認証のAutoPap出現によって実用レベルに達しつつあり,この装置のなかにCYBESTのノウハウが各所に取り組まれており,かつWiedらが「現在開発中のsystemには1960年代,70年代の古い技法が組み込まれている」との記述に基づき,使用者が特にblack boxの中でいかなる仕事が高速で処理されているかを多少とも知る必要があろうとの見地から,自動化装置のthe state of theartの概略を記載した.

米国における細胞診自動化

椎名 奈津子

pp.607-613

 米国における細胞診自動化の現状を報告する.細胞診の自動化は標本作製装置とスクリーニング装置の両面から研究・開発が進められており,現在米国ではCytyc社とTriPath社がそれぞれの理念に基づき,自動化をめざしてしのぎを削っている.

今回はこれら両社の自動装置について,原理,操作法,ランニングコスト,それら装置で作製された標本における細胞像とコンベンショナル標本との相違を解説し,細胞診自動化の将来展望について私見を述べる.

細胞診自動化装置のコンセプトとメカニズム

粥川 敦

pp.614-620

 これまで様々な試みがなされてきた細胞診の自動化は,その目的を当初の「人間の能力の置き換え」から人間の能力を「補強する」というコンセプトに変えることによって,実用化の域に到達するようになった.さらに,これまでは人間の検知能力に依存するしかなかったのに比べて,精度の向上と効率アップ(コスト低減)という相矛盾すると考えられていた2つの要素を同時に満足させることも可能となってきた.

 現在の代表的な装置である「AutoPap®」を例に,細胞診の自動化について解説する.

各論―日常業務への導入と問題点

プライマリースクリーニングの検討

中山 啓三

pp.621-625

 細胞診自動スクリーニング支援機AutoPap®を用い,子宮頸部従来法塗抹標本のプライマリースクリーニングを行った.設定条件75%再検不要例では使用可能と考えた.ただし起因微生物検出は若干問題を含み,日母分類が主なわが国では報告形態の検討が必要である.材料採取から塗抹,固定と標本作製法の改善がなされることが,精度の良い経済効果の高い機械一次スクリーニングを可能とする重要な1つと考えられた.

精度管理への応用と日常業務における経済性

上野 喜三郎 , 長谷部 鏡子 , 山内 一弘 , 羽山 忠良 , 田中 昇

pp.627-632

 形態学,特に細胞診は,他の検体検査と比較し検者の経験および能力に依存する部分が大きいのが特徴で,系統的な精度管理手法が確立されていないのが現状である.

細胞診鏡検業務において,ヒューマンエラーによる異常細胞の見落としが精度に最も影響を及ぼす.このヒューマンエラーを防ぐ方法として,従来から入間同十によるダブルチェックが行われている.しかしながら人間同士によるダブルチェックの欠点として,一度鏡検しているという先入観により同じ見落としをする恐れがある.そこで近年,自動化装置を用いての精度管理が行われるようになってきた.〔臨床検査46:627-632,2002〕

液状処理検体における標本作製手順

Karen M.Atkison , 内藤 雅嗣

pp.633-638

現在婦人科細胞診検査において,従来の塗抹標本に取って代わり米国で主流となりつつある液状処理検体によるThinlayer標本がある.液状処理検体は採取された細胞すべてをアルコールベースの固定液に採取する.分離剤を用いて炎症細胞などを削減し,上皮細胞や異型細胞の割合を増加させる.細胞はガラスとの荷電を利用して均一にスライドグラス上に均一に塗抹される.Thinlayer標本は従来標本よりも異型細胞の検出率が高く,炎症性細胞や血液成分を減少させ判定不能症例を激減させることができる.Thinlayer標本によって,精度の高い鏡検しやすい塗抹標本が作製可能となった.〔臨床検査46:633-638,2002〕

液状処理検体標本の細胞所見

照井 仁美 , 高松 潔 , 塚崎 克己 , 野澤 志朗

pp.640-646

 モノレイヤー標本とは,細胞検体を液体中で固定・保存し,機械的に分散させて単層に塗抹した標本である.細胞診自動塗抹標本作製装置ThinPrepは,細胞診の自動化を目的として開発されたモノレイヤー標本作製装置である.子宮頸部擦過細胞診において,ThinPrep法を用いたモノレイヤー標本と従来法の綿棒を用いた直接擦過標本との細胞所見を比較した.本装置での細胞診標本作製の標準化や自動化に期待される.

細胞診自動化と細胞検査士の役割

武智 昭和 , 石山 功二

pp.647-652

 細胞診における自動化は生化学検査などに比べ遅れていたが,AutoPap 300は1995年に精度管理(QC)用として,1998年にはプライマリスクリーニング(PS)用として,アメリカのFDAにより子宮頸部細胞診の自動化装置として認可された.この装置の導入の是非について,精度,経済性および導入後の細胞検査士の役割について述べた.

話題

自動固定標本作製装置

飯島 淳子 , 椎名 義雄

pp.655-658

1.はじめに

 細胞診標本作製は,精度向上のうえで最も重要な作業であるが,細胞採取法・塗抹固定の手技が統一されていないうえに,それが細胞検査士(CT)以外の医師・看護婦に委ねざるをえない現状がある.したがって,主に問題になるのはCT不在の病院や開業医から登録衛生検査所(検査所)に依頼される検体である.

 そのような検体には,穿刺材料や婦人科材料のように塗抹・固定されたものと,喀痰や尿のように生検体として送られるものがある.後者に関しては,近年種々の保存液が開発・販売され,より細胞変性の少ない検体が提供されるようになった.前者については本誌総説「米国における細胞診自動化」にも見られるように,主に米国においてはCytyc社とTriPath社が保存液中に採取した細胞(liquid-based検体)をそれぞれThinPrepまたはAutoCyte PREPといった自動標本作製装置にかけてmonolayer標本を作製し,固定前乾燥や観察の障害となる血液細胞が少ない標本が提供されるようになってきた.これら装置は細胞診で最も重要な部分を自動化することによって,安定した標準的な標本の提供を可能にし,近年穿刺吸引材料や尿に応用した報告が見られるようになった1~3).

画像解析装置による細胞診自動化の評価

庄子 忠宏 , 井筒 俊彦

pp.659-662

1.はじめに

 子宮頸癌の集団検診で得られる細胞診検体を能率的かつ省力的に処理するため,自動化システムの開発がこれまでにいくつも試みられている1~3).われわれは,CAS200を用いて集団検診受診例および臨床症例,計1,481例に対し子宮頸部細胞診自動化スクリーニングを行った4).本稿ではこの成績を紹介し,細胞診自動化の今後の展望についても述べてみたい.

ベセスダ・システム2001と細胞診自動化

平井 康夫

pp.663-667

1.はじめに

 「The 1988 Bethesda System for ReportingCervical/Vaginal Cytological Diagnosis(TBS)」(いわゆる「ベセスダ・システム1988」)は米国政府の主導の下に全米で使用され,現在に至る10年間に,その先進的な内容が米国内においてはほぼ定着したと評価されている.

 2001年4月,10年ぶり第3回目のベセスダ・システム改訂のためのワークショップがBethes-daの地で開催された.このワークショップは,細胞診断学とその周辺領域における新技術(細胞診自動解析装置,細胞診画像解析システム,新しい細胞標本自動作製装置,液状処理標本Iiquid-based specimens, HPV testなど)の発展を考慮して,ベセスダ・システムの内容を全面的に見直すことを目的とした.実際のワークショップには,日本を含む20か国以上の国々から,代表者を派遣した45の共催団体によって,約400人以上の参加を得て熱心な討議がなされた.実質的な討議は,インターネット上の電子掲示板においてオープン参加の下に2000年10月に開始されており,その結果が,ワークショップ当日に各問題点ごとに形成されたフォーラムグループからの報告の形でさらに討議された.

今月の表紙 電気泳動異常パターンの解析シリーズ・6

腎糸球体に沈着する構造異常を示すBence Jones蛋白

藤田 清貴

pp.590-592

 一般に,良性M蛋白といわれるMGUS (mon-oclonal gammopathy of undetermined signifi-cance)は,多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症などの悪性M蛋白と異なり,MGUSそのものは治療の対象とはならない.しかし,M蛋白が微量でもM蛋白が腎糸球体に沈着し,糸球体の結節性病変と蛋白尿,腎機能障害を惹起する場合がある.

 図1に70歳,男性のセルロースアセテート膜(Separax-SP膜)電気泳動パターンを示す.症例1)は顔面,下肢の浮腫を訴え,精査のため入院した患者であるが,入院時の主な検査成績ではM蛋白など異常バンドは全く観察されなかった.尿素窒素,クレアチニンは基準範囲内であったが,総蛋白(4.6g/dl),アルブミン(2.5g/dl)は低値を示した.免疫グロブリンの定量ではIgG(1,130mg/dl),IgM (166 mg/dl)は基準範囲内,IgAは449 mg/dlと軽度増加を示した.尿潜血反応は2(+),蛋白尿は約6g/dayであった.尿中Bence Jones蛋白(BJP)の検出を熱凝固試験のPutnum法で行ったところ陰性であった.しかし,血清および40倍濃縮尿を用いた免疫固定電気泳動法ではfast-γ位に微量なχ型BJPが検出された(図2).

コーヒーブレイク

冬の旅

屋形 稔

pp.626

 冬の谷川岳に区切られた関東と越後では風景が一変するのは周知の通りである.トンネルを抜けて雪国を見たスキー客は歓声をあげ,雪国から関東に抜けて一変した青空を眺めた私達は溜息をもらすだけである.

 1月にはゴルフ仲間が集まって高崎まで出かけた.土曜の早朝に着いて1日中晴天の芝生で暖国の幸せを満喫したが,翌朝附設ホテルで目覚めた眼下の上州の山野は一面皚皚の銀世界ではないか.他のゴルフ客からは新潟から雪をもってきたといわれ,意気消沈して一同帰路についた.

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・18

I型アレルギー反応の機序とその検査

斎藤 博久 , 中島 敏治

pp.669-675

はじめに

 ヒトゲノム塩基配列情報のすべてが解読されようとしている現在,ポストゲノム,すなわち生体における網羅的な全遺伝子転写産物(トランスクリプトーム)やその蛋白質(プロテオーム)の研究が急速に進展している.従来10万程度と推測されていたヒト遺伝子数も,ドラフト解析完了の結果,3~4万であることがわかっている.従来,遺伝子発現の解析法として用いられてきたノーザンプロットや競合的RT-PCR法は,一度に解析できる遺伝子の数に限界があった.近年,多数の遺伝子発現を同時に解析するためにマイクロアレイ法が開発された.マイクロアレイ技術も急速に進歩しており,2002年始めにはAffymetrix社より約3万種類の遺伝子発現を一度に定量できる装置(Gene―Chip, U 133シリーズ)も発売され,真の意味でのベッドサイドにおけるトランスクリプトーム解析が現実味を帯びてきた.われわれはミレニアムプロジェクトの一環として,GeneChipなどを用いてI型アレルギー反応に関与する細胞での遺伝子発現を網羅的に解析しているので,その成果の一端を紹介し,免疫反応検査の新しい展開について論じてみたい.

トピックス

DNAマイクロアレイの基本技術の最適化

山崎 健一 , 橋本 博支 , 田中 祐二

pp.677-680

 DNAマイクロアレイの利用範囲は,当初は基礎生物学における遺伝子発現プロフィールのグローバル解析に限られていたが,現在,特に医療分野では,その基本技術を基盤として,疾病の原因遺伝子の特定や,原因遺伝子のDNA塩基配列置換の分析(SNP解析)も成されるようになってきた.このように医療分野におけるDNAマイクロアレイの需要は今後ますます増加してゆくものと考えられ,その基本技術の完成度は,直接,診断結果に重大な影響を及ぼすようになってくるはずである.

ビタミン標準化の動向

渭原 博 , 橋詰 直孝

pp.680-682

1.はじめに

 多くの先進国において貧困による栄養失調症は20世紀に終焉したが,飽食の現代入に偏った食生活からくる栄養素の欠乏が,新たな問題となっている.ビタミンもその1つで,水溶性ビタミンは体内蓄積量が少ないのでビタミン欠乏症に陥りやすい.初期症状は,しびれ感,下脚倦怠,全身倦怠,どうき,食欲不振,息切れ,頭痛,肩こり,めまいなどの自律神経失調症に似たストレスフルな不定愁訴を訴える.この時期を潜在性ビタミン欠乏症という.

 潜在性ビタミン欠乏症の診断には,欠乏が考えられるビタミンの血中および尿中濃度の測定が必要とされているが,標準となる分析方法や正確な基準範囲が求められていないのが,わが国の現状である.これら課題を解決するために,1996年創立されたのがビタミン標準化検討委員会で,現在,日本ビタミン標準化検討協議会として日本臨床検査標準化協議会(JCCLS)に参加し,日本ビタミン学会,日本臨床化学会,日本栄養・食糧学会の支援を受けている.日本ビタミン標準化検討協議会のこれまでの活動について紹介する.

受容体型チロシンキーゼ下流で働くアダプター蛋白質

鈴木 健二 , 木崎 節子 , 木本 紀代子 , 大野 秀樹

pp.683-686

1.はじめに

 ヒトを含めた多細胞生物の形態形成や生命活動は,基本単位である1つ1つの細胞の増殖と分化が他の細胞との相互作用のもとに時間的,空間的に正しく制御されることによって成り立っている.それを可能にしているのが,精密かつ巧妙に構築された情報伝達のネットワークである.なかでも,受容体型チロシンキナーゼとその下流の細胞内情報伝達系は,広汎な生命現象にかかわる最も重要な経路の1つである.蛋白質のリン酸化は酵素などの機能蛋白質の活性を制御するだけでなく,多くの情報伝達分子を集めてシグナルの増幅と分岐の起点として働く.様々な細胞外刺激に対してどのような応答が引き起こされるかは,どのような細胞内情報伝達分子のセットが活性化されるかによって決定される.そこにはキナーゼやホスファターゼのような触媒活性をもった酵素に加えて,蛋白質同士の相互作用を介して直接情報の受け渡しを行う一群の蛋白質も働いている.この蛋白質問の結合にかかわる機能領域を分子内に2つ以上もち,それ自体は酵素活性をもたないものが「アダプター蛋白質」である.

アシネトバクターによる感染症と薬剤耐性

飯沼 由嗣

pp.687-690

1.アシネトバクターの細菌学

 アシネトバクター属菌(Acinetobacterspecies,以下アシネトバクター)は,ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌の一種であるが,その分類学的な評価が定まったのは1986年であり,現在では7つの命名された種と,名前のない10以上の種の存在が知られている.このうち,A.Catlco-acelicusと.A.baumanniiが臨床分離株の80%以上を占めている.一方,食べ物などの非臨床材料からはA.baumunnii以外のアシネトバクターが多く検出される.ただし,検査室における通常の検査手法では両者の識別が困難であり,また厳密な鑑別は不要であると考えられているため,A.calcoaceticus-A.baumannii complex(通称A.bautmannii)として一括して理解すれば問題はない.

ヘリコバクター・ピロリ菌CagA蛋白による細胞内シグナル伝達系の攪乱

畠山 昌則

pp.691-693

 ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)は全世界人口の約50%が保有すると推定され,その胃粘膜慢性感染は萎縮性胃炎ならびに胃潰瘍発症に深くかかわる.さらに近年ピロリ菌感染と胃癌との密接な関連が示され,世界保健機構(WHO)は1994年にピロリ菌をたばこと同じグループI発癌因子(definite carcinogen)に指定した.先進諸国において,ピロリ菌感染は胃癌の発症リスクを少なくとも6倍増大させる.なかでも,cagAと呼ばれる遺伝子を保有するピロリ菌はcagA陰性ピロリ菌に較べ,より高度の萎縮性胃炎を惹起するとともに,疫学的に胃癌発症と強い関連を示すことが明らかとなってきた1).ピロリ菌感染は,胃の粘膜系リンパ組織(mucosa-associatedlymphoid tissue;MALT)由来のリンパ腫発症にもかかわることが示唆されている.

質疑応答 血液

Helicobacter pyloriの除菌療法は特発性血小板減少性紫斑病に有効か

寺田 秀夫 , S生

pp.696-697

 Q 最近,Helicobacter pyloriの除菌療法が慢性特発性血小板減少性紫斑病に有効とする報告が多いのですが,すべての症例に有効か否か,その作用機序などわかりやすく教えて下さい.

編集者への手紙

時機を得た本誌特集「テーラーメイド医療と臨床検査」(46巻1号)

中 恵一

pp.698-699

 本誌46巻1号のゴモ題は,「ラーラーメイド医療と臨床検査」であった.キーワードである「テーラーメイド医療」に対する定義は,巻頭言で本誌編集主幹の菅野剛史(浜松医科人学・副学長)が解説している.すなわち,「患者それぞれの体質,生活環境を意識したくその患者に対する独自の医療を実践することである」と言い,加えて,「EBM (事実に立脚した医療)がその背景にあることは重要である」と言っている.

 ここで,菅野がEBMを和訳しようとしたカッコ内の言葉は,日本語でEBMを理解しようとするうえで,とても混乱する.例えば,現実に数々の誤解が生じていることを,日本国内の医療施策についてアメリカから弛まず強烈に批判する李啓充(マサチューセッッ総合病院・ハーバード大学助教授)が,「EBMに基づいたガイドラインの滑稽」と題して,日本の関係者,特に厚生労働省が直輸入してにわか勉強でねじ曲げたEBM概念のキャンペーンに踊らされる日本国内の現状を揶揄している(週刊医学界新聞,2002年3月4日・第2476号,p4).李は同論評で,「EBMは,その別名を,<tailor-made medicine>,あるいは<customized medicine>というように,個々の患者に最適な医療を〈特注〉しようと努力する医療である」として,菅野がEBMは「テーラーメイド医療」の背景にあるというのに対して,両者は同義語であるとしている.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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バックナンバー

64巻12号(2020年12月発行)

今月の特集1 血栓止血学のトピックス—求められる検査の原点と進化
今月の特集2 臨床検査とIoT

64巻11号(2020年11月発行)

今月の特集1 基準範囲と臨床判断値を考える
今月の特集2 パニック値報告 私はこう考える

64巻10号(2020年10月発行)

増刊号 がんゲノム医療用語事典

64巻9号(2020年9月発行)

今月の特集1 やっぱり大事なCRP
今月の特集2 どうする?精度管理

64巻8号(2020年8月発行)

今月の特集1 AI医療の現状と課題
今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

64巻7号(2020年7月発行)

今月の特集1 骨髄不全症の病態と検査
今月の特集2 薬剤耐性カンジダを考える

64巻6号(2020年6月発行)

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例

64巻5号(2020年5月発行)

今月の特集1 中性脂肪の何が問題なのか
今月の特集2 EBLM(evidence based laboratory medicine)の新展開

64巻4号(2020年4月発行)

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見

64巻3号(2020年3月発行)

今月の特集1 Clostridioides difficile感染症—近年の話題
今月の特集2 質量分析を利用した臨床検査

64巻2号(2020年2月発行)

今月の特集1 検査でわかる二次性高血圧
今月の特集2 標準採血法アップデート

64巻1号(2020年1月発行)

今月の特集1 免疫チェックポイント阻害薬—押さえるべき特徴と注意点
今月の特集2 生理検査—この所見を見逃すな!

63巻12号(2019年12月発行)

今月の特集1 糖尿病関連検査の動向
今月の特集2 高血圧の臨床—生理検査を中心に

63巻11号(2019年11月発行)

今月の特集1 腎臓を測る
今月の特集2 大規模自然災害後の感染症対策

63巻10号(2019年10月発行)

増刊号 維持・継続まで見据えた—ISO15189取得サポートブック

63巻9号(2019年9月発行)

今月の特集1 健診・人間ドックで指摘される悩ましい検査異常
今月の特集2 現代の非結核性抗酸菌症

63巻8号(2019年8月発行)

今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集

63巻7号(2019年7月発行)

今月の特集1 造血器腫瘍の遺伝子異常
今月の特集2 COPDを知る

63巻6号(2019年6月発行)

今月の特集1 生理検査における医療安全
今月の特集2 薬剤耐性菌のアウトブレイク対応—アナタが変える危機管理

63巻5号(2019年5月発行)

今月の特集1 現在のHIV感染症と臨床検査
今月の特集2 症例から学ぶフローサイトメトリー検査の読み方

63巻4号(2019年4月発行)

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ

63巻3号(2019年3月発行)

今月の特集 血管エコー検査 まれな症例は一度みると忘れない

63巻2号(2019年2月発行)

今月の特集1 てんかんup to date
今月の特集2 災害現場で活かす臨床検査—大規模災害時の経験から

63巻1号(2019年1月発行)

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62巻12号(2018年12月発行)

今月の特集1 海外帰りでも慌てない旅行者感染症
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62巻11号(2018年11月発行)

今月の特集1 循環癌細胞(CTC)とリキッドバイオプシー
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増刊号 感染症関連国際ガイドライン—近年のまとめ

62巻9号(2018年9月発行)

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今月の特集2 知っておきたい遺伝性不整脈

62巻8号(2018年8月発行)

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62巻7号(2018年7月発行)

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今月の特集2 現場を変える!効果的な感染症検査報告

62巻6号(2018年6月発行)

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今月の特集2 筋疾患に迫る

62巻5号(2018年5月発行)

今月の特集1 肝線維化をcatch
今月の特集2 不妊・不育症医療の最前線

62巻4号(2018年4月発行)

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック

62巻3号(2018年3月発行)

今月の特集1 症例から学ぶ血友病とvon Willebrand病
今月の特集2 成人先天性心疾患

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今月の特集2 実は増えている“梅毒”

62巻1号(2018年1月発行)

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60巻13号(2016年12月発行)

今月の特集1 認知症待ったなし!
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60巻12号(2016年11月発行)

今月の特集1 血液学検査を支える標準化
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60巻11号(2016年10月発行)

増刊号 心電図が臨床につながる本。

60巻10号(2016年10月発行)

今月の特集1 血球貪食症候群を知る
今月の特集2 感染症の迅速診断—POCTの可能性を探る

60巻9号(2016年9月発行)

今月の特集1 睡眠障害と臨床検査
今月の特集2 臨床検査領域における次世代データ解析—ビッグデータ解析を視野に入れて

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60巻7号(2016年7月発行)

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今月の特集2 百日咳,いま知っておきたいこと

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60巻5号(2016年5月発行)

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今月の特集2 感度を磨く—検査性能の追求

60巻4号(2016年4月発行)

今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

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59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

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今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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