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文献詳細

雑誌文献

臨床検査46巻7号

2002年07月発行

文献概要

コーヒーブレイク

見ぬかたの花

著者: 屋形稔1

所属機関: 1新潟大学

ページ範囲:P.734 - P.734

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 その昔の中学生の学力はふり返るとかなり高いものであったと思える.1~2年生で既に徒然草を副読本として全文読まされていた.これを書いた吉田兼好は天皇に仕えた北面の武士であったが,30歳頃出家してつれづれなるままにこの名随筆を書いたのは50歳前後と思われる.戦時中で教師も少なくなっており私達に本書を講義してくれたのは田舎町に残っていた寺の若い坊さんであった.始めて人生なるものを考えさせてくれた本書とともに,この若い坊さんの音吐朗々たる声が忘れられない.
 自然や人事に対する随想や教訓,批評,人生観,趣味観,処生訓などがちりばめられていた.例えば,このなかの第7段「あだし野の露消ゆる時なく」などをみると,「世は定めなきこそいみじけれ」(世のなかは無常であることがほんとうによいのだ)とか,「つくづくと1年を暮らすほどだにも,こよなうのどけしや」(人間がゆったりとおちついて1年を暮らす間だけでもこのうえなくのんびりしたことなのだ)などの感懐が綴られていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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