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文献詳細

雑誌文献

臨床検査46巻7号

2002年07月発行

文献概要

今月の主題 糖尿病 話題

尿中微量アルブミン測定の標準化の現状と問題点

著者: 伊藤喜久1 渡津吉史2

所属機関: 1旭川医科大学臨床検査医学講座 2国際試薬株式会社研究開発本部

ページ範囲:P.769 - P.772

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1.はじめに
 糖尿病性腎症は糖尿病に合併する細血管症で,持続的高血糖による一連の代謝異常により引き起こされる.病初期の正常排泄量の時期(腎症前期)を経て,徐々に腎糸球体における選択的透過機能が失われると基準範囲を超えて,アルブミンの尿中排泄が増加する(早期腎症).これを微量アルブミン尿(ミクロアルブミン尿,microalbuminuri-a)と呼び,1日排泄量で30~300mg/day,クレアチニン(Cr)で濃度補正したアルブミン指数で1日排泄量,随時尿で15~30mg/g・Cr,時間夜間尿で10~200mg/分,Cr補正で10~30mg/g・Crの範囲と定義される.この上限を超え顕性期(尿試験紙検査で陽性化)に入ると,短期間で急激に腎機能は低下して腎不全に至る1).したがって,顕性期以前の腎症前期,早期腎症のより早期の段階で,血糖コントロール,血圧コントロールなどの治療を進め,発症防止,進展の予防が図られなければならない.今や尿中微量アルブミン測定は,腎症の診断,治療,経過観察のマーカーとして,世界的に不可欠な検査となっている.
 筆者らは日本腎臓病学会腎機能(GFR)・尿蛋白測定委員会委員として腎機能検査の標準化に携わる機会を得た2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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