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今月の主題 臨床検査測定値の標準化 巻頭言
臨床検査測定値の標準化
著者: 濱崎直孝1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院臨床分子医学
ページ範囲:P.823 - P.824
文献購入ページに移動 医療の現場では臨床検査の占める割合は年々大きくなっている.例えば,昭和30年から40年頃までは肝臓の検査は黄疸が有力な診断指標であったことを考えると,現在との違いが明らかである.このように臨床検査の重要性が増しているのは,20世紀後半に急速に発展した生化学・生命科学の基礎研究が臨床検査として花を咲かせてきたことを意味しており,基礎研究の重要性を痛感している.これからもますます,臨床検査は診断あるいは治療指針としての重要性を増してくる.一方,臨床検査測定の技術も驚異的な発展を遂げている.初期診療に必須の臨床検査項目の測定はほぼ完全に機械化・自動化されている.しかし,このような科学の進歩にもかかわらず,まだ解決できないでいるのが,臨床検査測定値が各病院共通に利用できないという問題である.病院を変わると検査をやり直さなければならないのは,医師や慢性の疾患を抱えている患者にとっては常識になっている.しかしながら,それでも状況は徐々に改良されつつある.もう少しの努力である程度の地域病院間での比較も可能になるところまできており,臨床検査の精度管理・標準化は整備されつつある.臨床検査測定値の標準化の目標は,診療に必須の基本的な臨床検査については全国どこの測定値でも数値を単純に比較できることであり,大局的に眺めると,あと一息のところまで来ているけれども,まだまだ,やらねばならないことは沢山あるのが現状である.
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