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文献詳細

雑誌文献

臨床検査46巻9号

2002年09月発行

文献概要

今月の主題 C反応性蛋白 話題

CRP・肺クラミジア症・動脈硬化

著者: 高橋伯夫1

所属機関: 1関西医科大学臨床検査医学

ページ範囲:P.1009 - P.1013

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1.動脈硬化とCRP
 動脈硬化に基づく虚血性心疾患患者群,特に急性心筋梗塞(AMI)ではC反応性蛋白(CRP)が著増する.これは組織の融解に反応して増量するサイトカインがCRPの産生を促すためである.この際のCRPは数mg/dlから数十mg/dlと異常に高値を呈する.この現象については周知であり,AMIの診断のための検査法の1つとして定着している.さらに,解離性大動脈瘤でもCRPが高値を呈するが,深部静脈血栓症などの静脈系疾患ではCRPは変動することはない.CRPの生理的役割の詳細は不明であるが,組織学的研究ではCRPが動脈硬化病変部位に集積し,一部は泡沫細胞に取り込まれていることなどから,炎症により壊死した細胞のマーカーとして組織を標識し,マクロファージの標的となっている(オプソニン効果)可能性が考えられている1).この意味からも,動脈硬化病変が炎症であることが示唆される.
 明らかなAMIがない冠動脈疾患患者においてもCRPを測定すると,健常人と比較して高値を呈する(図1).冠動脈病変を病理標本から考察すると,病変部には泡沫細胞が集積し,脂質プールが形成されているほかに好中球やリンパ球などの炎症性細胞の集積もみられる2).すなわち,動脈硬化病変は炎症の病理像を呈している.したがって,CRPが炎症に反応して高値になることは十分想定される.さらに,最近の研究では,そのような組織中ではインターロイキン(IL)1β,IL-6,TNFαなどの炎症性サイトカインやIL-1β受容体拮抗物質が存在することが明らかにされている3)(図2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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