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今月の主題 C反応性蛋白 話題
Interleukin-6による急性期蛋白の産生機序
著者: 菅又泰博1 西本憲弘1 吉崎和幸1
所属機関: 1大阪大学健康体育部健康医学第一部門
ページ範囲:P.1015 - P.1019
文献購入ページに移動急性期反応は,感染や組織の損傷に対して原因となる物質を排除したり恒常性を回復させるために生体で最初に起こる炎症反応である.局所的には熱感,発赤,腫脹,疼痛を,全身的には発熱,倦怠感といった症状を伴う.このとき,血中で増加もしくは減少する蛋白が急性期蛋白と呼ばれるものである.ヒトでは前者がC反応性蛋白(CRP)や血清アミロイドA(SAA),フィブリノーゲン,ハプトグロビン,α1―アンチトリプシンなど,後者はプレアルブミンやレチノール結合蛋白が代表的である1)(表1).急性期蛋白の産生器官は主として肝臓であるが,生体のほかの組織で起きた損傷の情報がどのようなメカニズムによって肝臓へと伝達されるのかは長い間不明であった.また,肝臓以外,炎症組織からも産生されることが知られるようになった.
1980年代から'90年代にかけて白血球から産生される種々のサイトカインの存在が明らかになり,また,遺伝子クローニングによりリコンビナント蛋白が得られるようになったことで,サイトカインが急性期反応の重要なメディエーターであることが広く理解されるようになった.本稿では,サイトカインが急性期蛋白を誘導する機序について,interleukin-6(IL-6)を中心に概説する.
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