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文献詳細

雑誌文献

臨床検査46巻9号

2002年09月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・21

肝炎ウイルスと免疫応答

著者: 中村郁夫1 落合香織1 井廻道夫1

所属機関: 1自治医科大学附属大宮医療センター消化器科

ページ範囲:P.1025 - P.1030

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はじめに
 肝炎ウイルスとして,A型肝炎ウイルス(HAV),B型肝炎ウイルス(HBV),C型肝炎ウイルス(HCV),D型肝炎ウイルス(HDV),E型肝炎ウイルス(HEV)の存在が知られている.これらのウイルスが感染すると,様々な免疫学的機序が協調して,ウイルスの増殖の抑制・ウイルス感染細胞の排除を行おうとする.そのため,肝炎ウイルス自体には細胞障害性がないか,あるいは軽度であるにもかかわらず,ウイルスに対する生体の免疫応答の結果としてウイルス感染肝細胞の障害が生じる.ヒトにおける細胞性免疫応答の解析には,末梢血単核球(PBMC)・肝浸潤リンパ球(HIL)を用いて,抗原特異的増殖応答の解析,細胞障害性T細胞(ctotoxic T cell;CTL)応答の解析,サイトカイン産生の測定によるヘルパーT細胞(Th)の機能解析などが行われてきた。最近はこのほかに,Elispot法によるサイトカイン産生細胞数の解析,複数色の細胞内サイトカイン免疫蛍光染色法とFlow Cytometryを用いた解析,ヒト組織適合性抗原(HLA)テトラマー/抗原ペプチド複合体を用いたCTLの解析なども行われている。また,マウス,チンパンジー,ウッドチャックなど動物モデルを用いた検討も行われている.
 上記の方法のうち,比較的新しい方法である(1)Enispot法および(2) HLAテトラマー/抗原ペプチド複合体を用いたCTLの解析方法について紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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