文献詳細
文献概要
特集 プロテオミクスに向かう臨床蛋白質検査 2章 プロテオミクスに利用される最新の機器類 2.質量分析
2) Q-Tof型の質量分析計
著者: 鍵紀子1
所属機関: 1ジャスコインタナショナル(株)第二事業部応用研究室
ページ範囲:P.1301 - P.1308
文献購入ページに移動はじめに
1980年代後半にESI(エレクトロスプレーイオン化法)とMALDI(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)のソフトイオン化法が実用化され,蛋白質やペプチドをイオン化できるようになってから,質量分析計は蛋白質の分子量の決定や一次構造解析に広く応用されるようになった.特にESIは大気圧下での液体のイオン化法であることから,LC/MSのインターフェイスとして四重極型やイオントラップ型の質量分析計と組み合わせて発展してきた.Tof型の質量分析計については,1994年にStandingらがESIと直交方向に配置したリフレクトロンタイプのoa-Tof(orthogonal acceleration Time of flight)と組み合わせて,蛋白質やペプチドが広質量範囲で高感度かつ高分解能で測定できることを示した1).
Q-Tofは四重極とoa-Tofを組み合わせたハイブリッド型のMS/MS装置であり,1996年に初めてMicromassにより製品化された2).ESIとの接続が容易な四重極と,分解能,感度,精度に優れたTofを組み合わせた結果,蛋白消化物のMS/MSスペクトルから一次構造情報を比較的容易に得ることができるようになり,プロテオーム解析に応用される装置となった.ここでは,Q-Tofの装置概要とプロテオーム解析に用いられる測定モードについて,主にnano-LC/MSの測定例を用いて説明する.
1980年代後半にESI(エレクトロスプレーイオン化法)とMALDI(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)のソフトイオン化法が実用化され,蛋白質やペプチドをイオン化できるようになってから,質量分析計は蛋白質の分子量の決定や一次構造解析に広く応用されるようになった.特にESIは大気圧下での液体のイオン化法であることから,LC/MSのインターフェイスとして四重極型やイオントラップ型の質量分析計と組み合わせて発展してきた.Tof型の質量分析計については,1994年にStandingらがESIと直交方向に配置したリフレクトロンタイプのoa-Tof(orthogonal acceleration Time of flight)と組み合わせて,蛋白質やペプチドが広質量範囲で高感度かつ高分解能で測定できることを示した1).
Q-Tofは四重極とoa-Tofを組み合わせたハイブリッド型のMS/MS装置であり,1996年に初めてMicromassにより製品化された2).ESIとの接続が容易な四重極と,分解能,感度,精度に優れたTofを組み合わせた結果,蛋白消化物のMS/MSスペクトルから一次構造情報を比較的容易に得ることができるようになり,プロテオーム解析に応用される装置となった.ここでは,Q-Tofの装置概要とプロテオーム解析に用いられる測定モードについて,主にnano-LC/MSの測定例を用いて説明する.
掲載誌情報