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特集 プロテオミクスに向かう臨床蛋白質検査 2章 プロテオミクスに利用される最新の機器類 3.プロテインチップ,蛋白質相互作用
2) 二面偏波式干渉計(DPI)技術を利用した低分子と蛋白質の相互作用および高次構造変化のリアルタイム測定
著者: 中村徳雄1
所属機関: 1丸文(株)システム企画開発室
ページ範囲:P.1329 - P.1338
文献購入ページに移動はじめに
プロテオーム研究が目指す目標には,蛋白質の機能解明すなわち細胞内に発現している蛋白質全体の動態,構造,細胞内局在,高次構造形成や機能発現,代謝さらには相互作用などの解析が不可欠である.蛋白質がどのように機能・相互作用しているかを解明することは,これからの生命科学の大きな挑戦の1つである.そしてその生体分子の現象,プロセスを直接解明する測定方法は,科学技術の成功を大きく左右する.
蛋白質の構造と機能解析において,タグ(標識)なしでリアルタイムに蛋白質がどのように働くのかを観察することは重要である.
英国Farfield sensors社製AnaLight(R) Bio200は蛋白質の機能および構造解析分野において,DPI技術(Dual Polarization Interferometer;二面偏波式(電場,磁場成分)干渉計)を用いて,生体分子の密度,質量,厚さ,濃度,表面状態,分子量をリアルタイムに測定できる世界初のベンチトップ型生体分子間相互作用・機能・構造解析装置である.このDPI技術によって,生体分子の密度(質量/単位積)とサイズ(厚み)(分解能:0.01nm(0.1Å))を独立かつリアルタイムに測定することが可能である(図1).
絶対質量(=密度×サイズ)の定量測定が不能なため,相互作用する蛋白質の化学量論比さえも推測することができる.また質量変化が一定の相互作用変化の場合でも,密度とサイズ(厚み)の2つのパラメータで測定・分解することにより詳細に計測できる.
またAnaLight(R) Bio200は光の干渉技術を利用しているため,特異的結合(Specific Binding)と非特異的結合(Non Specific Binding)の微小の違いさえも検出可能である.厚みと密度を個別に定量測定できるため,蛋白質のフォールディング,分子配向,変性,低分子とリガンドの相互作用の計測にも最適である.
質量の増減変化・結合状態(会合,解離)の測定はもとより生体分子の厚み,密度,質量,濃度,表面状態化学量論比等を測定できることは,生体分子の機能,構造,メカニズムの関係について新しい洞察を可能とする.
AnaLight(R) Bio200のアプリケーション(解析可能分野)は,ゲノム研究からプロテオーム研究など幅広い利用が可能である.蛋白質―蛋白質,DNA―蛋白質,蛋白質―糖の相互作用,高次構造変化,相互作用・結合・解離状態,アグレゲーション,分子配向,フォールディング,動態研究,蛋白質修飾(酸化,リン酸化など),糖鎖の老化,癌,表面活性の研究を可能とする.
また創薬候補である低分子(分子量:10Daから)を観察することができ,相互作用する蛋白質(pH,イオン,温度,濃度など)を変化させ,影響する低分子-蛋白質(非特異的結合)の微小な挙動さえも測定することが可能である(図2,図3).
AnaLight(R) Bio200で示した実験データは中性子散乱,X線回折データと整合性もとれており,既存装置の相補的装置としての利用可能である.
本稿では,生体分子の新しいキャラクタリゼーションを可能とするAnaLight(R) Bio200の基本原理,装置概要,データ整合性(中性子散乱,X線結晶回折),実験測定例(ビオチン―ストレプトアビジン,Ca(カルシウム)-tTG(トランスグルタミナーゼ)の最新研究を紹介する.
蛋白質機能・構造解析装置AnaLight(R) Bio200の主な解析分野
・蛋白質機能修飾,酸化,リン酸化,低分子化合物測定
・生体分子間の相互作用,蛋白質-蛋白質間および低分子―蛋白質相互作用
・蛋白質に対する低分子の特異的または非特異的結合
・機能中蛋白質の高次構造変化
・生体分子間の相互作用(DNA,蛋白質,糖鎖解析)
・アルツハイマー病,パーキンソン病に対する蛋白質アグレゲーション研究
・分子配向,フォールディング研究など
・生体分子の密度・質量変化の測定
・生体分子の薄膜観察
・カイネティックス,反応速度論(Ka,Kd)
プロテオーム研究が目指す目標には,蛋白質の機能解明すなわち細胞内に発現している蛋白質全体の動態,構造,細胞内局在,高次構造形成や機能発現,代謝さらには相互作用などの解析が不可欠である.蛋白質がどのように機能・相互作用しているかを解明することは,これからの生命科学の大きな挑戦の1つである.そしてその生体分子の現象,プロセスを直接解明する測定方法は,科学技術の成功を大きく左右する.
蛋白質の構造と機能解析において,タグ(標識)なしでリアルタイムに蛋白質がどのように働くのかを観察することは重要である.
英国Farfield sensors社製AnaLight(R) Bio200は蛋白質の機能および構造解析分野において,DPI技術(Dual Polarization Interferometer;二面偏波式(電場,磁場成分)干渉計)を用いて,生体分子の密度,質量,厚さ,濃度,表面状態,分子量をリアルタイムに測定できる世界初のベンチトップ型生体分子間相互作用・機能・構造解析装置である.このDPI技術によって,生体分子の密度(質量/単位積)とサイズ(厚み)(分解能:0.01nm(0.1Å))を独立かつリアルタイムに測定することが可能である(図1).
絶対質量(=密度×サイズ)の定量測定が不能なため,相互作用する蛋白質の化学量論比さえも推測することができる.また質量変化が一定の相互作用変化の場合でも,密度とサイズ(厚み)の2つのパラメータで測定・分解することにより詳細に計測できる.
またAnaLight(R) Bio200は光の干渉技術を利用しているため,特異的結合(Specific Binding)と非特異的結合(Non Specific Binding)の微小の違いさえも検出可能である.厚みと密度を個別に定量測定できるため,蛋白質のフォールディング,分子配向,変性,低分子とリガンドの相互作用の計測にも最適である.
質量の増減変化・結合状態(会合,解離)の測定はもとより生体分子の厚み,密度,質量,濃度,表面状態化学量論比等を測定できることは,生体分子の機能,構造,メカニズムの関係について新しい洞察を可能とする.
AnaLight(R) Bio200のアプリケーション(解析可能分野)は,ゲノム研究からプロテオーム研究など幅広い利用が可能である.蛋白質―蛋白質,DNA―蛋白質,蛋白質―糖の相互作用,高次構造変化,相互作用・結合・解離状態,アグレゲーション,分子配向,フォールディング,動態研究,蛋白質修飾(酸化,リン酸化など),糖鎖の老化,癌,表面活性の研究を可能とする.
また創薬候補である低分子(分子量:10Daから)を観察することができ,相互作用する蛋白質(pH,イオン,温度,濃度など)を変化させ,影響する低分子-蛋白質(非特異的結合)の微小な挙動さえも測定することが可能である(図2,図3).
AnaLight(R) Bio200で示した実験データは中性子散乱,X線回折データと整合性もとれており,既存装置の相補的装置としての利用可能である.
本稿では,生体分子の新しいキャラクタリゼーションを可能とするAnaLight(R) Bio200の基本原理,装置概要,データ整合性(中性子散乱,X線結晶回折),実験測定例(ビオチン―ストレプトアビジン,Ca(カルシウム)-tTG(トランスグルタミナーゼ)の最新研究を紹介する.
蛋白質機能・構造解析装置AnaLight(R) Bio200の主な解析分野
・蛋白質機能修飾,酸化,リン酸化,低分子化合物測定
・生体分子間の相互作用,蛋白質-蛋白質間および低分子―蛋白質相互作用
・蛋白質に対する低分子の特異的または非特異的結合
・機能中蛋白質の高次構造変化
・生体分子間の相互作用(DNA,蛋白質,糖鎖解析)
・アルツハイマー病,パーキンソン病に対する蛋白質アグレゲーション研究
・分子配向,フォールディング研究など
・生体分子の密度・質量変化の測定
・生体分子の薄膜観察
・カイネティックス,反応速度論(Ka,Kd)
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