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今月の表紙 電気泳動の解析シリーズ・12
LDと結合するBence Jones蛋白の構造解析とその結合メカニズム
著者: 藤田清貴1
所属機関: 1信州大学医学部保健学科
ページ範囲:P.1594 - P.1598
文献購入ページに移動 乳酸脱水素酵素(LD, E.C.1.1.1.27)と結合する免疫グロブリンが血液中に存在すると,アイソザイム検査では様々な異常パターンを呈する.またLD活性は低活性異常として見い出される例も稀に認められるが,病態を反映しない高活性異常として観察される場合が多い.その出現頻度は200~400人に1人とかなり高いのが特徴である.LD結合免疫グロブリンを自己抗体と考えるか否か十分な結論は得られていないが,検索されたほとんどの例で免疫グロブリンのFab部との結合が証明されていることから自己抗体であるという考え方が主流であった.LD結合免疫グロブリンは酵素のLDよりも免疫グロブリン側に異常があることがわかっているが,どのような構造異常なのか全く解明されていない.なぜなら,LD結合性を示す免疫グロブリンは全体の免疫グロブリンのごく一部であり,結合性免疫グロブリンのみを精製することは非常に困難であるからである.
最近われわれは,LD結合免疫グロブリンの結合様式を解明するうえで重要な手がかりとなるM蛋白にLD結合能を認めた極めて稀な3症例を見い出した.そのうち,前号で示したLD-IgG1型M蛋白複合体例では抗原抗体反応ではなく,他の結合様式をとる可能性を解説した.それでは,一体どのような結合メカニズムが考えられるのだろうか?
最近われわれは,LD結合免疫グロブリンの結合様式を解明するうえで重要な手がかりとなるM蛋白にLD結合能を認めた極めて稀な3症例を見い出した.そのうち,前号で示したLD-IgG1型M蛋白複合体例では抗原抗体反応ではなく,他の結合様式をとる可能性を解説した.それでは,一体どのような結合メカニズムが考えられるのだろうか?
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