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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻2号

2003年02月発行

文献概要

今月の主題 病原微生物の迅速検査 話題

尿中レジオネラ抗原検出

著者: 小林隆夫1 舘田一博2 山口惠三2

所属機関: 1仙台厚生病院呼吸器内科 2東邦大学医学部微生物学教室

ページ範囲:P.184 - P.186

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1. レジオネラとは

 レジオネラ(Legionella spp.)は好気性グラム陰性桿菌の1つで,自然界中の土壌や水系(河川,湖,温泉など)に広く分布している.人工的な環境すなわち空調冷却水,給水設備にも存在し,このような環境に多いアメーバや藻類の中で共生して増殖可能な性質をもつ.Legionella pneumophilaが主要菌種で,これはさらに15以上の血清型に区別される.レジオネラにはそのほかにもL. bozemaniiなど48菌種が報告されている.レジオネラで汚染された水や蒸気を吸入することにより肺炎や軽症型のポンティアック熱を起こす1,2).なお,レジオネラは,ヒトからヒトへは感染しないといわれている.

 1976年の米国での在郷軍人大会での集団発生3)以来,「在郷軍人(Legionnaires)」と「肺を好む(pneumophila)」というラテン語からレジオネラLegionellaと命名され,市中肺炎や院内肺炎の起因菌の1つとして知られるようになった.その主要菌種がLegionella pneumophilaである.欧米では市中肺炎,院内肺炎の約10%を占めるとされている.日本では1981年に斉藤らにより初めて報告4)されたが,1994年の日本の市中肺炎の調査5)ではレジオネラはごく少数であった.しかし,温泉や入浴施設での集団感染例がしばしばマスコミでも報じられ,1999年の感染症新法では第4類感染症に分類されて報告が義務づけられた.感染症新法の施行後は,わが国でも毎年100名以上の患者が報告されている6).レジオネラや肺炎球菌による肺炎はいったん重症化すると致命率も高く,迅速な診断が望まれる.しかし,レジオネラ肺炎は他の微生物による肺炎と比較して特徴的な症状に乏しく,特異的診断法が必要であるが,以下に述べる問題点があり,実際の診断は容易ではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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