文献詳細
文献概要
今月の主題 病原微生物の迅速検査 話題
血清中抗抗酸菌抗体測定
著者: 河野弘明1
所属機関: 1協和メディックス株式会社研究開発部
ページ範囲:P.187 - P.191
文献購入ページに移動1.はじめに
1950年以降順調に減少してきたわが国の結核罹患率は,最近その減少率が鈍化し,再興感染症としての結核が再び注目を集めている.結核の診断は,喀痰などの臨床材料からの結核菌直接検出(塗抹染色法・培養法)が基本であったが,前者は検出感度が低く,後者は長時間を必要とすることから,臨床症状や胸部画像所見・ツベルクリン反応などの臨床的診断が行われて治療が開始される場合も多かった.最近PCR法をはじめとする遺伝子増幅法が取り入れられ,排菌陽性者の診断は著しく改善されたが,わが国では実際に菌を検出しないままに抗結核化学療法を開始する症例が,肺結核症と診断された患者の約半数に存在している1).これらの症例に抗酸菌症としての根拠を与え,適切な治療と処置を行うことは重要な問題である.
1950年以降順調に減少してきたわが国の結核罹患率は,最近その減少率が鈍化し,再興感染症としての結核が再び注目を集めている.結核の診断は,喀痰などの臨床材料からの結核菌直接検出(塗抹染色法・培養法)が基本であったが,前者は検出感度が低く,後者は長時間を必要とすることから,臨床症状や胸部画像所見・ツベルクリン反応などの臨床的診断が行われて治療が開始される場合も多かった.最近PCR法をはじめとする遺伝子増幅法が取り入れられ,排菌陽性者の診断は著しく改善されたが,わが国では実際に菌を検出しないままに抗結核化学療法を開始する症例が,肺結核症と診断された患者の約半数に存在している1).これらの症例に抗酸菌症としての根拠を与え,適切な治療と処置を行うことは重要な問題である.
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