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雑誌詳細

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅰ 免疫機能検査・26

先天性無ガンマグロブリン血症の病因分類

著者: 峯岸克行1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科発生発達病態学

ページ範囲:P.201 - P.206

はじめに

 無ガンマグロブリン血症は,ヒトにおいて最初に発見された原発性(先天性)免疫不全症で,1952年にBrutonによって報告された1).この最初の症例は8歳の男児で,生後4歳半より肺炎球菌による敗血症を10回以上繰り返した.この疾患がこのとき初めて同定されたことには,抗生物質の開発の寄与が大きく,それ以前には診断前に敗血症などにより死亡していたものと考えられる.さらには,新たに開発された血清蛋白の電気泳動により,ガンマグロブリン分画の欠損が示され,免疫学的な検討により抗原特異的抗体の産生の障害も証明された.ヒト濃縮免疫グロブリン分画の皮下投与により,易感染性の改善を証明しており,50年以上前にこれだけ優れた検査,診断,治療まで含めた臨床免疫学が存在していたことは大変感銘深い.その後,細胞免疫学の進歩により,無ガンマグロブリン血症のほとんどすべてが末梢血中のB細胞を欠損するB細胞欠損症であることが明らかにされ,後述するように,分子生物学,遺伝学の進歩により,B細胞欠損症の原因遺伝子が次々と明らかにされた.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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