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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻2号

2003年02月発行

文献概要

トピックス

細菌性腟症の診断

著者: 松田静治1

所属機関: 1江東病院

ページ範囲:P.214 - P.217

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1.はじめに

 細菌性腟症(bacterial vaginosis;BV)は,以前には非特異性腟炎,ガードネレラ腟炎,ヘモフィルス腟炎,嫌気性菌腟症などとして知られていたが,現在では乳酸桿菌(Lactobacillus)が優勢の腟内細菌叢から好気性菌のGardnerella vaginalis,嫌気性菌のBacteroides属,Mobiluncus属,Peptostreptococcus属,そのほかMycoplasma hominisなどが過剰増殖した複数菌感染として起こる病態と考えられている1,2).また腟自浄作用の低下,化学的,器械的刺激,エストロゲン機能の失調などの誘因が細菌増殖に関連するのであろう.しかし本症の診断基準に合致する例の1/3から半数が帯下感がなく無症状であり,病因はいまだ完全には解明されていない.

 近年BVが注目されるのは,本症を有する妊婦で絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis;CAM),早産,前期破水が頻度が数倍高くなることや,子宮内膜炎(産褥含む),子宮附属器炎(pelvic inflammatory disease;PID)罹患の危険率が上昇することで,時に腟トリコモナス症や子宮頚管炎とも合併する.BVを腟炎(vaginitis)とせず腟症(vaginosis)なる名称にした背景には,腟炎を分離される細菌で規定せず,腟分泌物の性状所見などに主眼をおいた事情が存在しよう.なお,BVをSTD(sexually transmitted disease)に含めることに反対の意見が多く,現在ではむしろsex associated diseaseとして捉えたほうがよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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