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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻3号

2003年03月発行

文献概要

今月の主題 樹状細胞 巻頭言

いまなぜ樹状細胞か

著者: 河上裕1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門

ページ範囲:P.233 - P.234

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1.はじめに

 樹状細胞(dendritic cell;DC)は1868年の皮膚Langerhans細胞の発見に始まり,1970年代になりSteinmanらにより脾臓の樹状突起をもつ細胞に対して命名され,その後,皮膚表皮Langerhans細胞,皮膚dermal DC,各種組織insterstitial cell,リンパ節輸入リンパveiled cell,胚中心germinal center DC,リンパ節T細胞領域,胸腺髄質T細胞領域interdigitating cellなどが,造血幹細胞由来の細胞集団として統合され,1990年代になり,抗原提示細胞(APC)として,その機能の細胞・分子レベルでの研究が進歩し,急速に表舞台に現れた免疫細胞である.

 2.免疫ネットワークにおける樹状細胞の重要性
 ヒト免疫ネットワークは大きく自然免疫(innate immunity)と獲得免疫(aquired immunity)の2つに分けられるが,前者は進化学的に古くから存在する防御系であり,異物を貪食するマクロファージなどの食細胞が典型であるが,DC,好中球,好酸球,好塩基球,単球,NK細胞などを含む.後者はリコンビナーゼによりゲノムDNAの組換えが可能になり,遺伝子再構成により抗原特異的なT細胞受容体・B細胞受容体をもつT細胞やB細胞というリンパ球が出現し,これらは抗原特異的に指数関数的な増殖による強力な出力とメモリー機能をもつ.自然免疫系は単に生体内に進入した微生物などの初期異物処理だけでなく,その後の強力な獲得免疫系の作動,また,IL-12産生などを介して細胞性免疫/液性免疫などの獲得免疫の方向性決定,免疫調節性T細胞誘導などに重要な役割を果たす.活性化T細胞は,逆にサイトカインやCD40L/CD40などを介してDC成熟化,マクロファージなどのエフェクター細胞分化を促進させ,両者のクロストークにより巧妙に免疫系が構築されている.DCは自然免疫系に属するが,注目を集めた理由の1つは,生体内で抗原未感作ナイーブT細胞を活性化できる抗原提示細胞であることが判明したからである.DCはT・B細胞以外にも様々な免疫細胞との関係が示されており,今までヘルパーT細胞が免疫ネットワークの中心として捕らえられていたが,その方向性決定に重要な樹状細胞は,免疫ネットワークの1つのセンターとしてクローズアップされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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