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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻3号

2003年03月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅰ 免疫機能検査・27

高IgM症候群の診断,病態解析

著者: 野々山恵章1

所属機関: 1防衛医科大学校小児科

ページ範囲:P.299 - P.302

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はじめに

 高IgM血症を伴う低ガンマグロブリン血症(高IgM症候群:hyper IgM Syndrome)は,血清中のIgG, IgAが低下する一方,IgMは正常ないし高値を示す免疫不全症である.クラススイッチを誘導する機構に障害があり,B細胞がIgG,IgA,IgEを産生できないことが基本病因である.したがって,クラススイッチを誘導する分子の異常がその本体であり,これまでに,CD40リガンド遺伝子(CD154,遺伝子座はXq26)1~4),AID(activation-induced cytidine deaminase,遺伝子座は12p13)5),CD40(遺伝子座は10q12-q13.2)6),NEMO(IKKγ,遺伝子座はXq28)7,8)が責任遺伝子として同定されている.CD40リガンド分子は,B細胞上のCD40に結合してクラススイッチを引き起こす.AIDはCD40刺激により発現誘導されるクラススイッチに必須の分子である.NEMOはCD40刺激により誘導されるNF-kBの活性化に重要な役割を果たす.このように本症候群の責任遺伝子はCD40に関連した分子群である.

 CD40リガンド遺伝子異常によるものを伴性劣性高IgM症候群(x-linked hyper IgM syndrome;XHIM)またはhyper IgM syndrome type 1(HIM1),AID異常によるものをhyper IgM syndrome type 2(HIM2),NEMO異常によるものを外杯葉異常(ectodermal dysplasia)を伴うhyper IgM syndrome(XHIM-ED)と称する.遺伝形式は,CD40 リガンド,NEMOは伴性劣性,AID,CD40は常染色体劣性である.CD40リガンド異常のdatabaseがweb site:http://www.expasy.ch/cd401base/に公開されている.

 なおこれらの遺伝子が正常であり,未知の遺伝子の異常による高IgM症候群も存在する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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