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今月の主題 漢方医学と臨床検査
各論
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〔SUMMARY〕 漢方薬で用いられる甘草が低カリウム血症を生じることはよく知られている.この作用は,甘草中に含まれるglycyrrhizinが,腎臓からのK排泄増加作用を有するアルドステロン標的細胞において,その受容体を糖質コルチコイド結合から保護している代謝酵素である11β-hydroxysteroid dehydrogenaseを抑制することによることが明らかとなった.前向き研究では,実際に低カリウム血症を生じる頻度は低いことが示されたが,近年,アルドステロンによる心臓などの線維化促進作用が着目されており,甘草の影響に関して今後の検討が必要である.〔臨床検査 47:362-366,2003〕
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