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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻4号

2003年04月発行

文献概要

今月の主題 漢方医学と臨床検査 話題

漢方薬による薬剤アレルギー診断におけるDLSTとLMITの意義

著者: 宇野勝次1

所属機関: 1国保水原郷病院薬剤科

ページ範囲:P.401 - P.405

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 1. はじめに

 1989年の築山ら1)の報告以来,小柴胡湯による間質性肺炎の報告が急増し,近年では小柴胡湯以外の漢方薬による間質性肺炎や肝障害の報告も多い2).佐藤3)は,全国各施設から報告された小柴胡湯単独関与に起因すると思われる間質性肺炎100例の診断根拠の32%が薬剤添加リンパ球刺激試験(drug -induced lymphocyte stimulation test;DLST)に依存していることを報告している.しかし,DLSTを根拠とした報告のほとんどはcontrol study(薬剤非過敏症者に対する薬剤の影響の検討)がなされておらず,反応濃度も記載されていない.また,小柴胡湯をはじめとする漢方薬のなかにはマイトジェン活性を有しているものがあることが報告4,5)されている.したがって,DLSTで漢方薬に陽性を示した今までの報告が漢方薬の抗原性を証明しているかは疑問が残る.また,筆者ら6~11)はアレルギー起因薬剤同定試験として白血球遊走阻止試験(leukocyte migration inhibition test;LMIT)の有効性を報告してきたが,漢方薬のなかにはリンパ球のサイトカインやケモカインの産生にも影響を与える報告12~14)があり,漢方薬アレルギーにおけるLMITでも漢方薬自体の免疫活性について検討する必要がある.

 そこで,小柴胡湯とその構成生薬7種類についてDLSTおよびLMITにおける影響15)について述べ,漢方薬アレルギーにおけるDLSTおよびLMITの注意点について言及する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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