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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻4号

2003年04月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅰ 免疫機能検査・28

総説・神経疾患

著者: 等誠司1 楠進1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院神経内科

ページ範囲:P.411 - P.417

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はじめに

 血液-脳関門や血液-神経関門に守られた神経系は,免疫反応の比較的少ない部位とされている.しかしながら,感染症や腫瘍,脳梗塞によって脳組織に損傷を受けた際には,脳内にもともと存在するアストロサイトやミクログリア,さらに末梢血からリクルートされたリンパ球などからサイトカインが盛んに分泌され,免疫反応が誘起される.また,自己免疫機序によると考えられている神経疾患も,決して少なくはない.

 免疫反応には,大きく分けて細胞性免疫と液性免疫の2種類がある.これらを制御するヘルパーT細胞にも1型と2型があり,主に分泌するサイトカインによって分類されている.1型ヘルパーT細胞(Th1)はインターロイキン(IL)-2やインターフェロン(IFN)γなどを産生し,細胞性免疫に関与している.多発性硬化症(別項参照)では,Th1がTh2に対してアンバランスに優位であり,Th1の活性化によるミエリンの破壊がその発症機序として考えられている.一方,2型ヘルパーT細胞(Th2)はIL-4,5,6などを分泌し,B細胞による抗体産生を促進する.後述する重症筋無力症や傍腫瘍症候群では,自己抗体が病態を引き起こしていると考えられており,Th2の関与が示唆される.ただし,自己抗体を有する神経疾患患者で,必ずしもTh2優位が認められるわけではない.また,自己抗体産生の引きがねも,先行感染に引き続くギラン・バレー症候群などを除けば,明らかではないことが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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