文献詳細
文献概要
今月の主題 アルコールと臨床検査 話題
アルコール性膵障害
著者: 大槻眞1
所属機関: 1産業医科大学医学部第3内科
ページ範囲:P.639 - P.643
文献購入ページに移動1.はじめに
1878年Friedreichが大酒家の剖検症例で,膵実質細胞が減少し,慢性間質性炎症像が存在することを報告して以来,アルコールが膵炎の重要な成因であることが知られている.厚生労働省特定疾患対策研究事業難治性膵疾患に関する調査研究班がまとめた研究結果によると,急性膵炎の約40%,慢性膵炎の約55%がアルコールによることが報告されている.アルコールと膵障害の間には強い因果関係が示唆されているが,大酒家で明らかな膵障害を呈するものは1%以下であることから,アルコールの膵障害に対する直接的な証明や機序については不明な点が多い.本稿では,ヒトにおけるアルコールの膵外分泌に対する作用と,アルコールの膵炎発生機序について概説する.
1878年Friedreichが大酒家の剖検症例で,膵実質細胞が減少し,慢性間質性炎症像が存在することを報告して以来,アルコールが膵炎の重要な成因であることが知られている.厚生労働省特定疾患対策研究事業難治性膵疾患に関する調査研究班がまとめた研究結果によると,急性膵炎の約40%,慢性膵炎の約55%がアルコールによることが報告されている.アルコールと膵障害の間には強い因果関係が示唆されているが,大酒家で明らかな膵障害を呈するものは1%以下であることから,アルコールの膵障害に対する直接的な証明や機序については不明な点が多い.本稿では,ヒトにおけるアルコールの膵外分泌に対する作用と,アルコールの膵炎発生機序について概説する.
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