文献詳細
文献概要
今月の主題 アルコールと臨床検査 話題
PIVKA-Ⅱとアルコール
著者: 丸山勝也1
所属機関: 1国立療養所久里浜病院
ページ範囲:P.659 - P.663
文献購入ページに移動1.PIVKA-Ⅱとは
凝固因子のうちⅡ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子の産生臓器は肝臓であるため,肝硬変などの重症肝疾患では減少を来たす.これらの凝固因子の産生にはビタミンKが必要となり,またこれらの因子は活性化の際にカルシウムイオンを必要とする点,さらにN末端にγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)を有するなどの共通点がみられる.したがって,これらの凝固因子はビタミンK欠乏症や,クマリン系抗凝固剤(ワーファリン)などのビタミンK拮抗物質の投与では正常な凝固機能を呈しない不活性な凝固因子蛋白,すなわちprotein induced by vitamin K absence or antagonist(PIVKA)となって産生される.PIVKA-Ⅱとは,凝固因子のうちの第Ⅱ因子であるプロトロンビンのPIVKAすなわち異常プロトロンビンを意味する.
PIVKA-Ⅱの産生機序は以下の通りである.血液凝固因子の第Ⅱ因子であるプロトロンビンは肝細胞内で前駆体として産生されるが,その後肝細胞内でNH2末端近傍10個のグルタミン酸残基(Glu)が,還元型ビタミンK存在下においてビタミンK依存性カルボキシラーゼによりγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)に変換される.Glaになるとカルシウムイオンと結合しやすくなり生物学的な活性が出ると同時に,hinge region(Glaドメインと結合している4個のアミノ酸部分)という蛋白分解酵素に弱い部分が奥に引っ込み分解酵素に影響を受けにくくなってくる.しかし,これがビタミンK欠乏状態,あるいはワーファリンなどのビタミンK拮抗物質の投与によるビタミンKエポキシレダクターゼ,ビタミンKキノンレダクターゼの非可逆的な阻害時には,ビタミンK欠乏状態になるためプロトロンビンの前駆体のGluが十分にGlaに変換されず,カルシウムイオンと十分に結合できない,すなわち正常な凝固能を有さない異常プロトロンビン(PIVKA-Ⅱ:des-γ-carboxyprothrombinとも呼ばれる)が生ずる.
凝固因子のうちⅡ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子の産生臓器は肝臓であるため,肝硬変などの重症肝疾患では減少を来たす.これらの凝固因子の産生にはビタミンKが必要となり,またこれらの因子は活性化の際にカルシウムイオンを必要とする点,さらにN末端にγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)を有するなどの共通点がみられる.したがって,これらの凝固因子はビタミンK欠乏症や,クマリン系抗凝固剤(ワーファリン)などのビタミンK拮抗物質の投与では正常な凝固機能を呈しない不活性な凝固因子蛋白,すなわちprotein induced by vitamin K absence or antagonist(PIVKA)となって産生される.PIVKA-Ⅱとは,凝固因子のうちの第Ⅱ因子であるプロトロンビンのPIVKAすなわち異常プロトロンビンを意味する.
PIVKA-Ⅱの産生機序は以下の通りである.血液凝固因子の第Ⅱ因子であるプロトロンビンは肝細胞内で前駆体として産生されるが,その後肝細胞内でNH2末端近傍10個のグルタミン酸残基(Glu)が,還元型ビタミンK存在下においてビタミンK依存性カルボキシラーゼによりγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)に変換される.Glaになるとカルシウムイオンと結合しやすくなり生物学的な活性が出ると同時に,hinge region(Glaドメインと結合している4個のアミノ酸部分)という蛋白分解酵素に弱い部分が奥に引っ込み分解酵素に影響を受けにくくなってくる.しかし,これがビタミンK欠乏状態,あるいはワーファリンなどのビタミンK拮抗物質の投与によるビタミンKエポキシレダクターゼ,ビタミンKキノンレダクターゼの非可逆的な阻害時には,ビタミンK欠乏状態になるためプロトロンビンの前駆体のGluが十分にGlaに変換されず,カルシウムイオンと十分に結合できない,すなわち正常な凝固能を有さない異常プロトロンビン(PIVKA-Ⅱ:des-γ-carboxyprothrombinとも呼ばれる)が生ずる.
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